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SEW▲挨拶するアントニオ・グテーレス国連事務総長(下段)1)水と災害に関する特別会合……天皇陛下が基調講演2)日本を代表し上川陽子・総理特使が演説貢献グローバル・ウォーター・ナビ 国連2023水会議(UN 2023 Water Conference)が2023年3月22~24日にニューヨークの国連本部で大規模に開催された。水問題に特化した国連水会議は1977年アルゼンチンのマル・デル・プラタ会議以来46年ぶりである。会議には約170ヵ国の国家元首や閣僚、各国政府代表、科学者、学者、市民社会グループ、民間グループ、ユースの代表および地域・NGOなどが参加した。 会議は公式声明を述べる本会議と5つのテーマ別討議(双方向対話)、4つの特別イベント、さらに国連内部で開催される200を超えるサイドイベントなどで構成された。テーマ別討議は、①衛生に関する水問題、②持続可能な開発に関する水、③気候変動・強靭性・環境に関する水、④協力に関する水、⑤水の国際行動の10年、を軸に展開された。 会議への事前登録参加者数は約7千人(UN事務局調べ)。1.開会式 アントニオ・グテーレス国連事務総長、今回の議長国を共同で務めるオランダのウィレム・アレクサンダー国王陛下、タジキスタンのエモマリ・ラフモン大統領が出席しスピーチ。グテーレス国連事務総長は「人類にとり最も重要な資源である水が、世界の持続可能性にとり、また平和と国際協力を促進するツールとして極めて重要である」と強調。この会議は「国(44)第1991号 令和5年4月18日(火)発行 連加盟国と国際社会の水に関する認識と、それに基づく行動の飛躍的な進歩を示すものになる。今こそが『水行動アジェンダ(Water Action Agenda)』を実現し、水のコミットメントをもたらすゲームチェンジの瞬間となる」と水会議開催の意義を述べた。2.国連2023水会議……日本の 日本は豊富な水に関する情報発信を国連の場を通じ、積極的に発信した。 本会議に先立ち21日に開催された「第六回国連・水と災害に関する特別会合」では、天皇陛下は「巡る水、水循環と社会の発展を考える」をテーマに英語で基調講演された。 特に水路や河川の整備が水害や火事の被害抑制に大きく貢献した江戸(東京)の歴史とともに、「江戸の水道網の構築や水の循環使用」、また「江戸の衛生」について述べられた。いわゆる下肥が農産物の生育に欠かせない有効な肥料として経済的な価値を持ち、下肥を江戸城下から運び出し衛生環境を保ったこと、また郊外で下肥肥料で生産された農産物を江戸まで載せてくる「舟運の為の水路網の活用」など、世界でもあまり例をみない「江戸時代には理想とする資源循環型社会が形成」されていたことを紹介。さらに近代の動きとして東京都水道局の羽村取水堰、東京都下水道局の芝浦水再生センター、首都圏外郭放水路など、日本のさまざまな水インフラの創意工夫例を取り上げ、世界が直面する課題解決のヒントは適切な水循環にあるのではないか、との考えを示され、今回の国連の水会議の成果に大きな期待を寄せられた。(講演ビデオは宮内庁のホームページに掲載されている、約21分間) 日本の総理特使を務める上川陽子衆議院議員(超党派・水制度改革議員連盟代表)が本会議で演説。第3種郵便物認可「国連2023水会議」ニューヨークで開催~世界の水問題解決を目指して~吉村 和就[グローバルウォータ・ジャパン代表 国連環境アドバイザー]94

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