までの3年間の活動に託されることになった。2)第二回世界水フォーラム(2000年3月):オランダのハーグで開催 マラケシュ宣言を受けて、水問題に関わる国際的な機関が中心となり「21世紀のための世界水ビジョン」の策定が始まった。ハーグで開催された第二回世界水フォーラムは、各地で百以上の会合が催され、約1万5千人が参加した。閣僚級会議で「21世紀における水安全保障に関するハーグ宣言」が採択された。3)第三回世界水フォーラム(2003年3月):京都・大阪・滋賀で開催 開会式では、フォーラムの名誉総裁である皇太子殿下が挨拶され、さらに「京都と地方を結ぶ水の道」というテーマで、平安京から育まれた京都の水運の歴史について基調講演された。3会場では約340の分科会(参加者約2万4千人)が開かれ、活発な論議や意見交換が交わされた。 日本政府主催による閣僚級国際会議は、京都国際会館において、約170ヵ国・地域と47の国際機関等から閣僚級130名を含む約1800人が出席し開催された。 それらの成果は閣僚宣言に盛り込まれ、主文には「水は環境十全性を持った持続可能な開発、貧困及び飢餓の撲滅の原動力であり、人の健康や福祉にとって不可欠なものである。水問題を優先課題とすることは、世界的に喫緊の必要条件である。行動の第一義的責任は各国にある。国際社会は国際・地域機関とともに、これを支援すべきである」と。宣言文には、全般的な政策方針、水管理と便益の共有、安全な飲料水と衛生、食料と農村開発のための水、水質汚濁第五回世界水フォーラムで基調講演を行った皇太子殿下(筆者撮影)防止と生態系の保全、災害の軽減と危機管理などが織り込まれた。4)第四回世界水フォーラム(2006年3月):メキシコシティで開催 140ヵ国から約1万9千人の各国政府代表者、国際機関、民間企業、NGO、研究機関の関係者が参加、我が国より皇太子殿下(第三回世界水フォーラム名誉総裁)が開会式で挨拶、翌日には「江戸と水運」と題する基調講演を行った。全体としての成果は「地球規模の課題のための地域行動や持続可能な開発に向けた水問題の重要性、国際合意や約束のさらなる推進のための貢献策などを謳った閣僚宣言が採択された。5)第五回世界水フォーラム(2009年3月):トルコ・イスタンブールで開催 192ヵ国から約3万人が参加、閣僚級国際会合では156ヵ国から95名の閣僚級が参加した。皇太子殿下は「水と災害」をテーマに基調講演、日本人が培ってきた水に関わる様々な知恵や工夫を紹介し、最後に「今回の世界水フォーラムにおいて、世界の人々が抱える多様な問題についての議論が行われ、安全な飲料水と基本的な衛生施設を持続的に利用できる環境づくりや、水関連災害に強い地域づくりの実現に向けた新たな提言と行動が生み出されることを願っております」と締めくくり、会場から大第六回世界水フォーラムのアジア・太平洋地域コミットメント会合で挨拶するアジア・太平洋水フォーラム会長の森元総理(写真中央)=筆者撮影日本水道工業団体連合会(水団連)の視察団と談笑する森会長(写真中央)。左端は水団連の坂本弘道専務理事、右から二人目が筆者きな拍手がわき起こった。6)第六回世界水フォーラム(2012年3月):フランス・マルセイユで開催 「水問題解決の時」をテーマとし、約170ヵ国から約3万5千人が参加し、マルセイユで開催された。開会式の後、120ヵ国の閣僚級代表団による閣僚会議が開催され、12の最優先課題(地球温暖化への適応策、グリーン経済と成長、水と衛生の権利の普及、国際河川の協力推進、海水淡水化の将来、水とエネルギーと食料問題など)が討議された。この閣僚会議で、日本は「水関連災害」のテーマ議長を務め、日本の災害対策を国際的にPRした。 次号では、世界水フォーラム第七~九回までの成果や日本が主導する「アジア・太平洋水サミット」を紹介する。第3種郵便物認可 第1989号 令和5年3月21日(火)発行(41)
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