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SEW発・管理ける女性の役割国連「持続可能な開発委員会」(CSD)に出席した筆者2.水と環境に関する国際会議……ダブリン宣言(1992年) アイルランドのダブリンで開催された「水と環境に関する国際会議(International Conference on Water and the Environment)」では、次の4つの原則が打ち出された。原則1:水資源の有限性 水資源は限りある損なわれやすい資源であり、生命、開発、および環境を維持する基本的な資源である。原則2:参加型による水資源開 水の開発と管理はすべてのレベルにおける利用者、計画立案者、政策決定者を含む参加型アプローチによるべきである。原則3:水供給・管理・保全にお 女性が水の供給、管理そして保全に中心的な役割を果たす。原則4:経済財としての水 水は、あらゆる競合的用途において経済的な価値を持ち、経済財として認識されるべきである。 このダブリン宣言は、その後の国際的な論議において広く受け入れられ、今日に至るまで国際会議の共通基調となっている。同1992年6月にブラジルのリオデジャネイロで開催された「国連開発環境グローバル・ウォーター・ナビ 近年、水に関する数多くの国際会議が開催され、様々な宣言や報告書が出されているが、歴史的に大規模な水会議の流れを、2回に分け概観してみたい。 水に関する初の大規模な政府間の国際会議は、今から46年前の1977(昭和52)年にアルゼンチンのマル・デル・プラタで開催された「国連水会議(United Nations Water Conference)」である。同会議では水管理の重要な要素に関する勧告および個別水分野に関する決議「マル・デル・プラタ宣言(行動計画)」が採択された。1.マル・デル・プラタ宣言(行動計画)……1977年3月 国連主催による初の大規模な政府間水会議で、参加国は116ヵ国、日本から水資源開発公団の山本三郎総裁ら3人が政府代表として参加している。行動計画としては、①水資源の利用可能性を把握すること、②すべての人々が安全な飲料水を利用できるようにすること、③切迫する食糧需給に備え、農業用水の確保、灌漑施設の整備を進めること、④水利用合理化のため、循環利用や再生利用の技術を進め、排水処理による水資源の環境改善―などが宣言され、それ以後の国際的な水会議の源流となった。(40)第1989号 令和5年3月21日(火)発行 会議(通称:地球サミット、172ヵ国の政府代表が参加)」で採択された「アジェンダ21」の第18章(淡水資源の質および供給の保護)にもダブリン原則が反映された。このアジェンダ21を確実に実施するために、国連憲章第68条に基づき、経済社会理事会に「持続可能な開発委員会(CSD)」が設立され、今日に至っている。3.世界水フォーラムの歴史 世界水フォーラムは、1996年に国連教育科学文化機関(UNESCO)と世界銀行が中心となって水分野での研究等を行うために設立された世界水会議(World Water Council)が提唱し、各国政府、国際機関、学識者、企業およびNGO/NPOなどが包括的な水のシンクタンクとして活躍できる場として、3年に一度、世界各地で開催されることになった。1)第一回世界水フォーラム(1997年3月):モロッコのマラケシュで開催 マラケシュ宣言では「清浄な水と衛生設備が利用できるという人間の基本的なニーズを認識すること、水分配の効果的な管理メカニズムを確立すること、水資源の有効利用の促進、水利用におけるジェンダーの公平性の確保、住民組織と政府の協調体制の推進などが織り込まれ、次の世界水フォーラム第3種郵便物認可「水に関する国際的な会議の流れ」・その1吉村 和就[グローバルウォータ・ジャパン代表 国連環境アドバイザー]93

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