2) 水への適応と回復力(AWARe必要な壊滅的な洪水に見舞われていることや、アフリカ諸国では、過去40年間で最悪の干ばつで1億5000万人が飢餓に直面していることなどが報告された。1) 第6次IPCC評価報告書の水 11月12日に開催された「IPCC・AR6 水の安全保障の結論と国家気象拡大水トラッカー」のイベントで、英国気象庁のリチャード・ベッツ氏(IPCC水関連の筆頭執筆者)は報告書第4章の結論を発表した。◦ 40億人が、少なくとも年間1ヵ月間は、深刻な水不足を経験している。◦ 氷の総質量は、すべての氷河地域で減少している。◦ 1億6300万人が、より乾燥した状態に直面、逆に4億9800万人が、より湿った状態に直面している。◦ 大雨のケースは世界中で増加しており、洪水を引き起こしている。◦ 干ばつのケースは、多くの地域で増加している。◦ 気候変動が進むに連れ、極端な気象現象が世界中で起こっており、人々の健康と幸福、そして経済的な安定に直接的な影響を与えている。 水への適応と回復力のための新しいイニシアチブは、水の重要性を反映し、COP27で発表された。COP27議長国が世界気象機関(WMO)の支援を受けて起草した「AWAReイニシアチブ」は会期中の11月14日を水の日として開始された。多くの利害関係者と国連機関の集合的な取り組みであり、3項目の目標が掲げられている。の論点イニシアチブ)を提言第3種郵便物認可 ▲ COP27閉幕式で成果を発表するサメ・シュークリ議長(エジプト外相)(出所:同)トメントを発表し、実装をすぐに開始する。またデンマーク、フィンランド、ドイツ、アイルランド、スロベニア、スウェーデン、スイス、ベルギーは、合計1億0560万米ドルの新規資金提供を発表し、さらなる支援の必要性を強調した。2.気候変動の危機は、水の危機である COP27のもう一つの重要な焦点は「水セクターの早期警戒と早期適応行動の促進」であり、災害リスクを軽減するための水文気象および気候情報交換の重要性が強調された。国連のグテーレス事務総長は「国連は、地球上のすべての人々が5年以内に水に関する早期警報システムによって保護されることを確実にするための行動を主導する」と述べ、頻発する干ばつと水不足に適応するための行動として「官民パートナーシップ(PPP)」の役割も強調した。ホスト国のエジプトは、ナイル川における水の安全保障に関して深刻な状況に直面している状況下で、COP26(英国グラスゴーで開催)で討議された「ウォーターパビリオン」のフォローアップとして、国内30以上の組織・機関・企業を動員し、国際的な水管理のあり方をPRしている。 論争の的になっている「損失と損害」の中でも、最近の水災害の例として、8月と9月にパキスタンで2000万人以上が、人道支援が 第1983号 令和4年12月13日(火)発行(43)◦ 世界中の水損失と損害を2030年までに50%減らし、水供給を改善する。◦ 協力的な水関連の適応行動と、その共同利益のための政策と方法の実施を提案し、支援する。◦ アジェンダ2030、特にSDG6を達成するために、水と気候変動対策の協力と相互連携を促進する。 会議の中では、極端な気象現象の早期警報システムの改善に取り組むことに加え、持続可能な排水管理、衛生政策と戦略、水に関する省エネ経路の促進などが話題となった。結論として、水資源政策と国家の気候変動対策を結び付け、気候変動が水資源とその需要に及ぼす長期的な影響を緩和するために、準備と適応策の支援を目指すことになった。WMOのエレナ・マナエンコワ博士(WMO副事務総長)は「AWAReは、すべての人々のための早期警告を実施する実用的な手段」であり、各国のリーダーに向け気候変動に備える世界各国のために水と、それに関する情報提供を促進するよう呼びかけた。さいごに 今回のCOP27の最大の成果は「損失と損害」基金の設立で合意したことであるが、パリ協定の「1.5℃」目標の達成に向けた緩和策の野心的な向上については進展が見られなかった。またもう一つの焦点だった「緩和緊急拡大作業計画」にも新しい目標が課せられず、エネルギー分野では実効性の乏しい内容となった。それだけにCOP27では天然資本である水問題がクローズアップされたとも言えるだろう。今回討議された「AWAReイニシアチブ」の行方が、次回COP28に密接につながることを期待している。
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