【写真左】「第33回全国浄化槽技術研究集会」で基調講演(2019年10月9日、秋田キャッスルホテル)●演 題:浄化槽法改正と地方創生●参加者:全国から約800名【写真右】右から佐竹敬久秋田県知事、筆者、佐藤裕之秋田県浄化槽協会会長第3種郵便物認可 を処理する単独浄化槽が約400万基残存している。②浄化槽の維持管理の強化(受検率40%以上を目指す)。具体的には単独浄化槽から合併浄化槽への切り替えの促進のために指導、勧告、命令も可能になること。公共浄化槽設置の促進、財政支援、浄化槽台帳の整備、協議会の設置、浄化槽管理士に対する研修の機会の確保などが述べられている。3.全国浄化槽技術研究集会で基調講演 筆者は秋田市で開催された「第33回全国浄化槽技術研究集会」で講演の機会があり、参加者約800名を前に「浄化槽の将来像」について述べた。 浄化槽の技術的な問題には触れず、「地方創生に役立つ浄化槽」として「水とエネルギーと食料」の三位一体による施策の推進を提案した。1)秋田県の動き 秋田県では、将来の人口減少率(41.2%で全国最大)に備え平成22年から県と自治体で協議を重ね、平成27年度から広域・統合化事業に着手している。事業内容は、①生活排水処理施設の統廃合、②流域下水道と単独公共下水道の統合、③汚泥の集約処理・資源化である。▲秋田モデルによる持続可能な下水道事業の取り組み(汚泥の集約処理・資源化) 全国公営企業管理者会議(平成31年1月)・秋田県資料より抜粋特に汚泥の資源化については大きな成果が期待できるだろう。県北3市3町1組合の下水処理7施設と浄化槽の汚泥を受け入れているし尿処理3施設から発生する汚泥を流域下水道大館処理センターで資源化(平成32年から供用開始予定)と集約処理をすることにより今後20年間で約40億円縮減が出来、さらに地方創生(雇用、事業展開)への貢献が期待されている。2)浄化槽の将来性 浄化槽の将来性について、国内編では、スマホで水質管理ができるIOT型合併浄化槽の普及拡大に努め、海外編においては、今後アジア・アフリカ地域の経済発展が進む中で、分散型の汚水処理のニー 第1905号 令和元年11月5日(火)発行(35)ズが急激に増大することが予想されている。しかし既に浄化槽の類似商品(粗悪品)が多く存在している。日本の浄化槽を普及させるためには、更なる製品の差別化、低価格製品の規格化、IOTを用いた維持管理手法を開発し、途上国の要望に応える努力が必要である。さいごに 今回の台風の被害に鑑み、各省庁は自ら管轄する水関係インフラの修復や将来性を打ち出しているが、国策として国交省、経産省、農水省、厚労省、環境省、総務省などは「健全で持続可能な水循環」を達成するために、省庁間の壁を越えて具体策に取り組むべきであろう。
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