SEW県グローバル・ウォーター・ナビ 今や日常生活において広く普及している「ミネラルウォーター」、その手軽さによる水分補給はもちろんのこと、美容や健康さらには料理に使うなど、生産量は年々増加している。2021年度のミネラルウォーター国内生産量、販売金額は2年連続で過去最高を記録し、過去20年間で市場規模は約4倍に達している。しかし、その水源をめぐる様々な論議が引き起こされている。まずは現状を見てみよう。1.ミネラルウォーターの国内生産量 (一社)日本ミネラルウォーター協会の調査によると、2021年度のミネラルウォーター類の国内生産量は415万4338kL(同108.1%)、輸入量は28万7661kL(同84.8%)で国産品が2年連続で前年を上回る結果となり、合計444万1949kL(同106.2%)と過去最高量に達した。 金額面では、国内生産品が3319億2500万円(同108.5%)、輸入品が136億9800万円(同80.5%)、合計で3456億2300万円(同107.0%)となり、市場規模はこの20年間で約4倍となった。22年度はコロナ禍による巣ごもり需要で、さらに市場拡大が期待されている。 さらに同協会の「2021年度、都■ミネラルウォーター類 国内生産、輸入の推移出所:一般社団法人日本ミネラルウォーター協会調べ■都道府県別ミネラルウォーター生産数量 ベスト5道府県別生産数量の推移」によると、全国生産量は415万4337kLで、山梨県がトップシェアで38.1%、続いて静岡県13.6%、鳥取県8.9%、熊本県5.3%などと報告されている。1)地下水の飲料水化への課税の 景気後退による慢性的な税収の減少に悩む山梨県(自主財源動き……山梨県第3種郵便物認可 山梨県静岡県鳥取県熊本県長野県/島根県出所:(一社)日本ミネラルウォーター協会統計資料(2022-04-13)より作成第1970号 令和4年6月14日(火)発行(29)生産数量(kL)1,583,870565,165368,039219,641154,80248.9%)が目を付けたのが「ミネラルウォーター税(仮称)」である。2000年に山梨県の地方税制研究会が、全国で初めて法定外目的税※として「ミネラルウォーター税」の導入を検討すると発表。その後、設置された検討会では、税の導入が「望ましい」という意見と「課税の公平性に問題あり」という反対の意見が拮抗し、2007年当時、横内正明知事が税の導入を事実上断念した。しかし2019年3月、県議会が可決した「地下水の利用への課税を検討すべき」との提言を受け再度、地方税制検討会が設置(2019年8月)された。 これまでの会合では、法定外の目的普通税の導入を軸に、①営利目的での地下水の採水への課税、②営利目的で採水した地下水を飲料として製品化し、県内外に移出割合/全国38.1%13.6%8.9%5.3%3.7%日本のミネラルウォーターの水源問題吉村 和就[グローバルウォータ・ジャパン代表 国連環境アドバイザー]84
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