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▲統合セッション▶ パネリストらとのショット(左からPUB・マイケル氏、筆者、土研・小池氏、国交省・井上氏)▲タジキスタン共和国 ラフモン大統領▲高校生によるサイドイベント(42)第1968号 令和4年5月17日(火)発行 ンライン参加者(WMO(世界気象機関)やADB(アジア開発銀行))も含め、熱心にSDGsにもとづくレジリエンスな社会構築の道筋が論議された。 セッション終了後には、聴講していたシンガポール公益企業庁(PUB)のマイケル・トウ産業技術連携促進部長と面談、パネリストと意見交換を行った。PUBはアジア最大の「水研究開発センター」の設立を予定しており、日本企業の積極的な参加を求めている。6.ハイレベルステートメント 各国の大統領や首脳がオンラインで参加、国家元首の生の声が会場で放映された。フィリピン、オーストラリア、サモア、トンガ王国、フィジー、パラオ、アルメニア、ブータン王国、ベトナム、インドネシア、タジキスタン、スリランカ、キルギス、トルクメニスタン、ナウル共和国などであり、多くは先進国からの温暖化対策についての技術的な支援や財政支援の要望が多かった。興味深かったのはタジキスタン共和国のラフモン大統領の演説であった。いわく「世界の人々はツバルやキリバスのような島嶼国が、温暖化による海面上昇により沈む国と理解しているが、わが国には氷河が8000以上あり、すでに1000以上が温暖化により消滅し、飲料水や農業に大きな影響を与えている。世界の人々は氷河を有する山岳国にも関心を持つべきである」と。7. 公式サイドイベント   (シンポジウムや展示会) 15年ぶりに日本で開催された水サミット、過去の水サミットと大きく異なったのは、特に若い人(ユース)や地域に密着したイベントが多かったことである。「熊本の 小学生から世界に発信! ~海洋ごみをゼロにするために~」「次世代へ継承 世界に熊本の魅力を発信 ~熊本の地下水」、ユース水フォーラム・九州で熊本の高校生が作成した動画やこれまでの活動紹介など、ユースによる持続可能性の見える化に関する試みが披露され、多くの参加者で盛況であった。さいごに 2016年の熊本地震や2020年の豪雨災害から、見事に復興された熊本で開催された第4回アジア・太平洋水サミットの成果である「熊本宣言」や日本政府が提言した「熊本水イニシアティブ」は、2023年3月に国連本部で開催される「国連2023水会議」で報告される。今回の成果がアジア太平洋地域のみならず、全世界の水問題解決における礎の一つになることを期待したい。【写真はすべて筆者撮影】第3種郵便物認可

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