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減▲岸田首相第3種郵便物認可 ドの一つに挙げ、「レジリエントで持続可能な開発を促進するために、水問題を牽引する責務があり、開催国の首相として、行動をより一層加速する使命を強く感じている」と述べ、今回の水サミットを「大きく踏み出す好機」にしたいと意欲を見せた。国連のアントニオ・グテーレス事務総長はビデオメッセージで挨拶し、最後に開催都市を代表して大西一史熊本市長が「熊本市で水サミットを開催できることは光栄で、世界の水の未来の道筋になることを確信する」と水サミットで得られる成果に期待を寄せた。3.首脳級会合……熊本宣言採択 会合には対面およびオンライン出席を含め約20ヵ国の首脳らが参加。熊本宣言では、①コロナ禍と回復における水問題からのアプローチ、②質の高い社会への変革、③従来手法からの取り組みの加速――などを主要項目として、各国・地域のリーダーが取り組む方向性について合意した。また「質の高い社会」を実現させるためには、ガバナンス、ファイナンス、科学技術の三分野の重要性を強調した。4. 課題解決へ熊本水イニシアティブ……岸田首相が表明 岸田首相は基調演説でアジア太平洋地域の水問題解決に貢献する支援の仕組み「熊本水イニシアティブ」を宣言、5年間で5000億円の投資を行うことを表明した。具体的には、ハード・ソフト両面からデジタル化など最新技術を活かし、気候変動への適応策・緩和策への取り組み支援、基礎的な生活環境改善の支援を通じ、質の高い社会インフラ整備の構築に貢献することを目指すと宣言した。1) 第一のアプローチ……気候変動適応策・緩和策の取り組み◦ アジア太平洋地域に存在する3万基以上あるダムに、我が国の有する技術(治水・利水能力の向上、水力エネルギーの増強など)で気候変動の緩和策◦ 農業用用排水施設の整備、水田の雨水貯留機能の活用◦ 水管理に必要な観測データの蓄積・収集や将来予測の促進◦ 水害リスク評価や整備・運用の見える化支援◦水管理人材の育成2) 第二のアプローチ……基礎的な生活環境の改善への取り組み◦公共用水域の水環境の改善支援◦ 水道施設の施設拡大・更新時への支援◦ 水道事業体の能力強化(IoT技術の活用、民間企業の参入促進、漏水探知能力の向上、無収水量削減による収支改善、料金徴収システムの拡充など)◦汚水管理の促進◦ 我が国の下水道施設整備技術の活用により水環境改善やバイオマス発電に貢献◦ 下水道整備による浸水被害の軽第1968号 令和4年5月17日(火)発行(41)◦ インフラ管理・運用のデジタル化や最新技術の導入支援5.専門家による分科会討議 九つの分科会では熱心な意見交換と討議が行われた。①水と災害/気候変動、②水供給、③水源から海までの水と環境、④水と貧困/ジェンダー、⑤水と衛生/汚水管理、⑥ユースによるリーダーシップ・イノベーション、⑦水と食料、⑧水と文化と平和、⑨地下水を含む健全な水循環――などであり、各々の分科会の成果は統合セッションにおいて、科学技術面、ファイナンス面、ガバナンス面の視点から議長サマリーとして取りまとめられた。 筆者が出席した統合セッション「科学技術」では、国立研究開発法人土木研究所/水災害・リスクマネジメント国際センターの小池俊雄センター長による司会で、NASAアジア担当のガービィ・マッキントッシュ代表、IPCC執筆メンバーである国立研究開発法人海洋研究開発機構/環境変動予測研究センターの河宮未知生センター長、国土交通省水管理・国土保全局の井上智夫局長が登壇、オ

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