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SEWグローバル・ウォーター・ナビ 令和4年4月23、24日の両日、熊本市・熊本城ホールにアジア太平洋地域から、30の国・地域の首脳級および政府関係者、水の関係者が約3000名集い、「第4回アジア・太平洋水サミット」が盛大に開催された。テーマは「持続可能な発展のための水 ~実践と継承~」。SDGs(国連の掲げる持続可能な開発目標)の17項目のあらゆる目標達成に関わる水問題の解決に向けて、議論が交わされた。開会式には、天皇皇后両陛下がオンラインで出席され、天皇陛下が、お言葉を述べられるとともに記念講演にご登壇された。岸田文雄首相をはじめ、ツバル、カンボジア、ラオス、ウズベキスタンの首脳級はメインホールに参会し、首脳級会合では「熊本宣言」を採択。基調演説に立った岸田首相は、質の高い社会の実現に向けた認識と行動を共有し、今後の日本の政策として「熊本水イニシアティブ」の立ち上げを表明した。1.開会式……天皇陛下のお言葉 開会式には、アジア・太平洋地域・国から首脳級を含め約700名が参集したほか、天皇皇后両陛下がオンラインで出席された。主催者であるアジア太平洋水フォーラムの会長(水サミット合同実行委▲天皇皇后両陛下(40)第1968号 令和4年5月17日(火)発行 員長)を務める森喜朗元首相の開会挨拶に続き、天皇陛下が英語でお言葉を述べられた。筆者の心に残った天皇陛下のお言葉を次に紹介する。「水は、地球上のあらゆる生命の源であり、多くの恵みを与えてくれる一方で、時には洪水などで災害をもたらす脅威となります。また水問題は、貧困、教育、ジェンダーなど、持続可能な目標(SDGs)の他の課題とも密接に関連した問題として捉えられます」「今回のサミットでは、各国首脳級、さらには国際機関、政府機関、NGO、各分野の専門家など様々な人々が集い議論し、叡智を結集して具体的な解決策を探り行動に移すことが期待されています」「来年には国連で46年ぶりに水問題を中心に議論する会議が開催されます。最後に今回のサミットが大きな成果を挙げ、アジア太平洋地域、さらには世界の水問題の解決、そして、水を通じた全世界の人々の幸福と世界の平和に向け大きな一歩となることを心から願い、私の挨拶といたします」(お言葉の全文および記念講演の詳細は宮内庁のHPで公開されていますので、そちらでご覧ください)2. 岸田首相の挨拶……水を治める者は国を治める カンボジアのフン・セン首相、ツバルのカウセア・ナタノ首相、ラオスのパンカム・ヴィパヴァン首相、ウズベキスタンのサルドール副首相など多くの首脳級が参会する中、開催国の岸田首相は「水を治める者は国を治める。水を治めることは地球規模の社会課題を解決することに大きく貢献する」と、水問題解決における政治のリーダーシップの重要性を強調。例えば「質の高い社会構築」をキーワー第3種郵便物認可「第4回アジア・太平洋水サミット」熊本で開催吉村 和就[グローバルウォータ・ジャパン代表 国連環境アドバイザー]83

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