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3.データセンター消費電力の内訳 一般的に大型データセンター電気代の内訳は、冷却用の空調が約45%、IT機器(サーバー、ネットワーク機器、監視機器など)が約30%、電源設備(無停電電源、緊急用発電機など)が25%と言われている。従って各社とも、いかに電気代を削減するかに知恵を絞っている。基本的な削減方針は、①すべての機器の高効率化、②新方式の冷却システムの採用、③空調設備の最適化、④AI/IOTによる効率的な空調制御などである。4.空冷から冷却効率の高い水冷への動き サーバー消費電力の削減が、データ企業の命運を分ける時代になり、2017年には北極圏の寒冷な気候で効率的な冷却を行う世界最大級のデータセンター(仮想通貨関連はノルウェーやスウェーデンに拠点)が設置され、2018年には再生可能エネルギーで稼働する「海中データセンター」がマイクロソフト社により試験設置された(スコットランド沖合の海底)。またグーグルは「データセンター自身の冷却システムをAIに任せる」ことにより30%の省エネに成功している。日本国内でも、さくらインターネット株式会社は、北海道石狩市(年平均気温7.5℃)へデータセンターを設置している。しかし、いずれも従来の空冷方式の効率化を外気温の有意差(低温)を活用しており、既に限界値に第3種郵便物認可 近い。近年のスーパーコンピューターのように、空冷から間接水冷(1次系(溶媒)と2次系(水)ループ)および直接水冷に注目が集まっている。5.水処理技術者への要求 GAFA各社は、すべて「2030年までにカーボンゼロを目指す目標」を掲げている。特にグーグルは熱心で2030年までにカーボンニュートラルを達成するために、事業面すべての項目で「Google Sustainability」の達成を目指している。特に気候変動による世界的な水不足の課題解決に取り組む姿勢が強調されている。具体的には世界中のグーグル施設でのより良い水管理、地元の水システムと水ストレスの解消、雨水活用、水のリサイクル、効率的な空調水管理など、多くの水に関する課題解決にパートナーと協力して取り組むことを明言している(グーグルは2019年度、50億ガロン(約1290万m3)の水資源を使用)。 グーグルはグローバルおよび地▲風力タービンが稼働するグーグルのデータセンター(出所:グーグル) 第1953号 令和3年10月5日(火)発行(33)域のステークホルダーなどと提携し、水の持続可能性に関する窓口として、学際的な環境で作業する水管理チーム員を募集している。既に同社は持続可能性のグリーンボンド債権57億5千万ドル(約6325億円)を発行し、その収益で世界の環境保全と社会の健全化を支援することを明らかにしている。 GAFA各社の水処理技術者に関する募集内容(目的と応募条件など)を次ページに示す。あとがき 急速に進展するGAFAのようなIT業界には、従来とは異なる水分野での活躍の場が創出される。日本国内の水市場がシュリンクする中で、これから大きな進展が期待されるIT関連業界に、果敢に攻め入る水専門家の意気込みを期待したい。 募集内容に興味を持ったら、各社のリクルート欄や「水の仕事 ―ウォータースチュワードシップリード」(joshswaterjobs.com)を訪ねて欲しい。世界各国のリクルート情報満載である。

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