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SEWタの増加率グローバル・ウォーター・ナビ GAFA(ガーファ)とは、米国の主要IT企業であるグーグル(Google)、アマゾン(Amazon)、フェイスブック(Facebook)、アップル(Apple)の4社の総称である。そのGAFAが、世界中から水の専門家を急募している。 GAFAの実力は驚異的である。今年の8月には、GAFA・4社の株式時価総額は7兆0500億ドル(約770兆円)を超え、日本株全体の時価総額(約750兆円)を上回っている。また彼らの21年1~3月期決算数値も凄い。新型コロナウイルス流行に伴うオンラインサービス需要を追い風に、4社とも増収増益を確保。4社の合計売上高は30兆円(1~3月期決算)を超し、その利益総額は6.4兆円(利益率21.3%)である。 このまま推移すると4社合計の通期決算は120兆円を超すのではないかとの予想も出ている(因みに昨年の4社合計の通期決算は約85兆円)。この巨大4社の最大の目標はサスティナビリティ(経営の持続可能性)で、年々倍増するデータセンター向けカーボンフリーのエネルギーの活用である。 例えばグーグルでは、再生可能エネルギー(風力、太陽光など)で作られた電力を採用し、2017年に再生可能エネルギーを使い始め(32)第1953号 令和3年10月5日(火)発行 た。2020年には6ギガワットの再生可能エネルギーを購入している。グーグルは最終目的として2030年までに全世界(約150ヵ国)のデータセンターおよび事務所・キャンパスを「化石燃料に依存しない、カーボンフリー・エネルギーで24時間365日運用」することを目指している。しかし同時にGAFAは大きな課題を抱えている、それは、想像を超える速さで増大するデータ量を捌き、蓄積、流通させるデータセンター・サーバー向け電力需要である。1.予測できないデジタルデー 米国の調査会社IDC(International Data Corporation)は2020年5月「世界のデジタルデータ総量は59ゼタバイト※を超えた」と発表した。さらに今後5年間で、「過去5年間の世界交信データの3倍以上のデジタルデータが生成」されると予想しているが、2030年時点における世界デジ■IT関連機器の消費電力予測IT関連消費電力予測世界の消費電力(TWh/年)日本の消費電力(TWh/年)(出所:国立研究開発法人科学技術振興機構『情報化社会の進展がエネルギー消費に与える影響(Vol.1)』)2016年1,170412030年42,3001,480タルデータ総量については「過去の経験則がアプライできない速度で成長するだろう」と述べている。 同じく米国CISCO社は、過去の実績として2015年から2020年にかけてのデジタル・トラフィックデータ(通信回線を経由してやりとりされるデータ量)は、この5年間で2.7倍になり、特にモバイルデータは年平均成長率53%(5年間で7.8倍)増加したと報告している。また日本の科学技術振興機構(JST)の「情報化社会の進展がエネルギー消費に与える影響(Vol.1)」提案書では、2030年に世界の情報量は現在の30倍以上、2050年には現在の4千倍以上に達すると予想している。※ ゼタバイト:10の21乗のデータ量(テラ、ペタ、エクサ、ゼタと千倍ずつ増加)2.IT関連で必要とされる電力量は IT機器関連(データセンター向けサーバー、個人用のPCや携帯電話、ネットワーク)での消費電力予測は前述のJSTの提案書によると以下の表の通りである。 2050年までの世界消費電力の増加率は、2016年比で約4300倍、2030年比では約120倍である。またIT関連機器の消費電力のうち、データセンター向け電力消費量割合は約30~35%と推定されている。いずれにしても急激な消費電力の増加が予想されている。第3種郵便物認可2050年5,030,000176,200水の専門家は“GAFA”を目指せ!吉村 和就[グローバルウォータ・ジャパン代表 国連環境アドバイザー]77

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