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で豊飯いいでまち豊町でも減少傾向を示している。 では、積雪がどれだけの表流水や地下水を生み出しているのか。毎年気象条件が顕著に変化し、また地域条件により大きく異なっているので難しいが、観測地点のグリッドを、さらに細分化しコンピューター解析で確実性を求めていく必要がある。さいごに 地球温暖化の進行により、貴重な水資源となる積雪量の減少は、将来の日本の水資源賦存量(特に渇水時)にも大きな影響を与えることが予想される。地球温暖化防止策として我が国の成長戦略「2050年のカーボンニュートラルに向けた総合経済対策」の推進は勿論のこと、革新的な地球温暖化防止の技術開発に向けた支援や、その成果の社会実装、エネルギー分野の変革、製造業の構造転換などに果敢に取り組み、日本が世界を主導するグリーン社会の実現が待たれている。などを含む)の開きが次第に大きくなってきている。1)水資源賦存量 国土交通省の「日本の水資源の現況・令和元年版」によると、昭和40(1965)年頃から少雨の年が多くなっており、平成30(2018)年の我が国の年降水量は約1764mmで「平均年水資源賦存量」は約4200億m³/年である。しかし10年に一度程度の割合で発生する少雨時の水資源賦存量は約2900億m³/年(平均賦存量の69%)で、この数字は「渇水年水資源賦存量」と呼ばれている。 平均年水資源賦存量に対する渇水年水資源賦存量の割合は、地域差が大きく、近畿、山陽、四国、九州や沖縄では小さく、北海道、東北、関東、北陸、山陰では大きくなっている。2) 積雪は日本の貴重な水資源…… 積雪は天然のダムと言われ、春先の融雪水は灌漑用水として重要な水源であり、初夏までに、ゆっくりと溶け出す融雪水は、河川水や地下水源の貴重な安定した供給源である。その積雪量が年々、減少している。例えば山形県の飯いいでさん豊山(標高2105m)では、北股岳東斜面で越年性残雪は30〜50m(1974年観測)だったが、最近では10〜20mに減少。豪雪地帯で有名だった、ふもとの天然のダムいい▲山形県飯まち町の積雪(2021年1月31日)第3種郵便物認可 山形、富山、石川、新潟、岐阜、長野などの山岳地域では、積雪量が一日で60cm以上になる確率が、2%から12%に増える結果となった。しかし単純に積雪量が毎年増えるとも言えない報告もある。 気象研究所、東北大学、海洋研究開発機構および長野県環境保全研究所のグループは、水平分解能1kmという中部山岳地域の複雑な地形を再現できる超高解像度の予測計算から「雪が多く降る年はより多く、あまり降らない年はより少なくなる可能性」を示している。つまり地球温暖化の影響により冬の積雪量は現在よりも、さらに上下幅が極端になる予測を示している。3.平均気温の上昇と積雪量 気象庁が本年1月4日「2020年の日本の天候のまとめ」を発表した。それによると、年平均気温は全国的に高く、特に東日本では平年値(2010年までの30年平均)を1.2℃上回り、1946年の統計開始以来、過去最高を記録した。年降水量も豪雨に見舞われた九州北部で平均値より33%、九州南部で20%多く、近畿の太平洋側で19%、沖縄で18%、山陽で16%、東北日本海側で15%、四国で15%とそれぞれ多かった。では降雪量はどうだったのか。昨年の冬は冬型の気圧配置が続かなかった影響で東・西日本の冬季平均気温が統計開始以来、最も高くなり、その影響で降雪量が少なくなり、北日本、東日本の日本海側の積雪量は最も少ない記録を更新している。4.日本の水資源と積雪との関係 最近20年から30年間は、少雨の年と多雨の年の年降水量(雪、氷 第1936号 令和3年2月9日(火)発行(39)

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