SEW▲典型的な冬型天気図(出所:気象庁ホームページ、衛星写真)(38)第1936号 令和3年2月9日(火)発行 ている。では世界と日本の積雪の変化をみてみよう。1.世界の積雪量 気候変動に関する世界的な報告書「IPCC第5次評価報告書(2014年)」では地球温暖化の科学的な根拠として次のように報告されている。1)世界の平均気温は1880年から2012年の間に0.85℃上昇し、1850年以降のどの10年平均より暑い年が続いた。2)過去20年にわたり、グリーンランドおよび南極の氷床は減少しており、氷河は世界中で縮小している。3)北半球の雪や氷は高い確信度で減少し続けている、特に北極域の海氷や北半球の春季の積雪面積は減少し続けている。4)永久凍土の温度が上昇している。特に1980年初頭以降、ほとんどの凍土地域で上昇している。 つまりIPCC第5次の報告では、世界中の積雪量や氷河、氷床が年々、減少し続けていることが明確に述べられている。2.日本の積雪量 東北大学などのチームが米国の地球物理学連合の論文誌に発表(2019年12月)した内容によると「地球温暖化が進むと、東北から中部、北陸地方の山岳地域で豪雪時の降り方が強くなる」。これは空気中の水蒸気が増える上、シベリアからの寒波の影響が強まるのが原因としている。今世紀末には世界の平均気温が産業革命前より4℃上がると予測し、年間で最も雪の多い日の雪の降り方を5km四方ごとに計算した結果、秋田、福島、第3種郵便物認可グローバル・ウォーター・ナビ 年末年始に日本海側の各地に大雪警報が発令され、新潟、秋田県などが、いわゆる「ドカ雪」に襲われた。予想外の豪雪で、除雪が間に合わなく、昨年末には「関越自動車道で大雪により最大時約2100台の車が立ち往生」のニュースが全国を駆け巡った。 本来なら「地球温暖化の影響で、日本全国の降雪量の総量は減少」しているはずだが、短期間に一気に降る「ドカ雪」は逆に増加すると予測されている。気象庁がまとめた長期積雪予測では、このまま地球温暖化防止対策をとらなければ、気温が4℃上昇し、日本国中で積雪量が約7割減少するとしている。なぜ積雪量の減少が日本の水資源に大きな影響を与えるのか。 日本の冬はシベリアから寒気が噴き出し、日本海から水蒸気を得て、日本列島の脊梁山脈にぶつかり日本海側は大雪になり、逆に太平洋側は乾燥が続く。これが日本の典型的な冬気候である。日本を縦断する背骨である脊梁山脈に積もった雪は、春先になり溶けて川に流れ込むが、当然日本海側だけではなく、太平洋側の河川にも流れ込んでいる。つまり雪に縁のない太平洋側に住んでいる人々にとっても「積雪は天然のダム」であり、極めて貴重な水資源となっ69吉村 和就[グローバルウォータ・ジャパン代表 国連環境アドバイザー]日本の水資源が危ない!地球温暖化で積雪7割減少
元のページ ../index.html#37