第3種郵便物認可 され、その寿命が2日から14日であったことが確認されているので、塩素濃度の確認とともに生下水の飛沫やエアロゾルからの感染に注意すべきである。 米国環境保護庁(EPA)も、下水処理において完全に殺菌されていれば、COVID-19はもちろん、病原菌も除去されると述べている。EPAではSARSの経験からCOVID-19の殺菌や滅菌に効果がある消毒薬351種類の製品名、製造企業、接触時間等のリストを公開(List N:Disinfection for Use Against SARS-Cov-2)している。3.米国水道協会(AWWA) AWWAは1881年設立、国際的な非営利団体で、会員約5万人を有している。COVID-19に関する情報提供として、会員および非会員に対し無料でのウェブ情報(AWWA COVID-19 Webinar)を提供。動画(1時間38分)でのコロナ対策サポート概要の紹介、視聴者からの質問に具体的に答える6人のエキスパートの紹介やコメントが掲載されている。その内容は、かなり詳しく将来のパンデミックに備え、職員、作業員の安全を守る手段、電力や薬品の確保、遠隔モニタリング、コントロールの危険性まで指摘している。4.米国水環境連盟(WEF) WEFは、1928年に設立された下水処理や再生水利用に係わる研究や訓練を行う非営利団体だが、今回のCOVID-19について、以下の警告を発している。◦ COVID-19は、特に初期症状(発熱、脱力感)の患者からの糞尿、特に下痢便からウイルスRNAが検出されているが、生下水から人への感染は知られていない。飛沫接触やエアロゾル吸▲新型コロナウイルス感染・世界地図(出所:世界保健機関(WHO)ホームページ、中央ヨーロッパ時間3月28日18時現在)引の機会が多い下水処理場においては、換気、手洗いの励行に努めるべきである。◦ 24時間監視や連続運転管理の必要な下水処理場は、できるだけ遠隔監視システムを採用し、従業員の公衆衛生を守るべきである。5.米国の最新情報 3月28日連邦政府はニューヨーク州、ニュージャージー州、コネチカット州に対する国内移動自粛勧告を発出し、各州知事に勧告実施上の裁量権を賦した。この移動勧告は、運送業、公衆衛生の専門家、金融サービス、食品提供を含む重要社会インフラ産業の従事者には適用されない。同日、クオモNY州知事が発信したメッセージの一部は次の通りである。◦ ニューヨーク州の感染者は同月28日現在、5万2318名(前日4万4870名)、死者数728名(527名)、ニューヨーク市内の感染者2万9158名(2万5573名)、死者数517名(366名)である。 第1915号 令和2年4月7日(火)発行(43)◦ 今後14日から21日で感染のピークを迎える見込みであり、これは短距離走ではなく、マラソンであり、長期にわたり対処する必要がある。◦ ブルックリン、クイーンズなどに4000床の治療ベッドを追加する。◦ 手洗い、顔に触れない、他人と6フィート離れる、自宅待機、など感染を楽観視しない基本的なことを実践すること。◦ 薬局に対し、配送料を無償化するよう要請する。さいごに 「人類の歴史は感染症との戦いの歴史」でもある。中世ヨーロッパではペスト感染で5千万人が死亡、日本においても明治10年から3年間でコレラ患者が16万8千人発生し、その死者が10万人を超えている。その戦いに勝ったのは、公衆衛生の基幹をなす上下水道の普及であることを、国民に周知徹底すべきである。
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