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ネスに与える影響第3種郵便物認可 ば深圳地区の企業の負担、3億元(約47億円)が軽減された。4)処理コストの増大 中国の生態環境部は20年2月1日「新型コロナウイルスによる肺炎医療を徹底するために汚水と都市・郷鎮汚水処理管理監督活動に関する通知」を発表し、消毒活動の再強化と処理水に含まれる糞便性大腸菌群指標基準の達成と、関連排出基準の順守を要求、さらに公共や家庭に対し防疫手段として塩素消毒剤による消毒の完全実施、汚水事業者には汚水中の残留塩素濃度の引き上げと濃度の保持を要求している。当然のことながら原水中の塩素濃度の引き上げは、汚水処理の主役である活性汚泥法の生物活性に大きな影響を与える。「残留塩素0.5mg/L時、反消化に対し影響が始まるために炭素源(アルコール等)の補充が必要となり処理コストの上昇、さらに水質監視モニタリングのコスト増が避けられない」と汚水処理企業は指摘している。5)下水処理水の消毒強化 塩素等の消毒薬投入で汚水処理の運転コストが上昇している。全国同時での消毒の強化は、全国の交通規制や、物資供給ルートで制限を受け、消毒剤は生産能力不足となっており、供給単価も上昇している。生態環境部は処理水中の遊離塩素を6.5~10mg/Lに規定したために、塩素剤の欠品が深刻になっている。このため水処理コストは、トン当たり0.08元(約1.3円)上昇すると試算されている。北京市内にある11ヵ所の汚水処理場は、すべて国の汚水処理基準に合致しているが、高碑店再生水処理施設では、UV+次亜塩素酸ナトリウム+オゾンによる消毒を実施。首創の湖北プロジェクトでは、次亜塩素酸ナトリウム+UVによる消毒を併用し安全性を確保している。2.新型コロナウイルスがビジ 新型コロナウイルスの感染拡大が世界の企業と経済活動に与える影響を特定するには、時期尚早であるが、過去のパンデミック(広範囲に及ぶ感染症)の経験による短期的な経済評価や今後の潜在的な影響は推測できるだろう。1)河北省武漢で始まった新型コロナウイルスの感染拡大は中国全土に及び、さらに世界中に拡散している。収束の見通しは出来ていない。2)中国国内で大きな影響を受けた州は湖北省、広東省、江蘇省、浙江省、山東省、北京特別区であり同地区は中国における経済活動の90%を占めている。また同地区は中国経済において雇用の50%、売り上げの48%を占めている(ダン・アンド・ブラッドストリート調べ)。3)同上地区に直接サプライヤー(Tier1)を持つ企業は世界で5万1000社におよび、Tier2(Tier1企業に部品を供給する)企業は500▲WHOが発表した新型コロナウイルス汚染地図 (2020年2月27日午前11時現在/アメリカ東部標準時) 出所:米国疾病予防管理センター(CDC)ホームページ 第1913号 令和2年3月10日(火)発行(47)万社に及んでいる。この為に世界GDPの約20%を占める中国経済が、世界のGDP成長率にマイナス1ポイントの波及効果をもたらす可能性がある(同、ダン・レポート)。3.今後どうなるか? 新型コロナウイルスに対する特効薬も無いまま、予想が不可能な状況に陥っている。米国疾病予防管理センター(CDC)のロバート・レッドフィールド所長は2月14日「新型コロナウイルスの感染拡大は今年中に終わらず、来年まで続くかもしれない」と述べ、コロナウイルスとの戦いは「短期戦ではなく長期戦になる」可能性が高まっていると指摘している。日本においてもパンデミック発生時に想定される水環境中の迅速なるウイルス濃度測定法、環境リスク評価、水環境への影響緩和技術等の開発が急務である。【参考文献】◦ チャイナ・ウォーター・リサーチ(内藤康行代表、令和2年2月17、18日号)◦ Dun&Bradstreet(Feb 5,2020)Business Impact of the Coronavirus

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