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▲台風19号による河川の氾濫と断水被害(筆者作成)▲ 10月29日、自民党の水道事業促進議員連盟が主催した「水道整備促進全国決起集会」が衆議院第一議員会館で開かれた(筆者撮影)第3種郵便物認可 2%)に引き上げる計画が打ち出されている。 これらの事業推進に対し自民党の水道事業促進議員連盟(川崎二郎会長)は10月29日「水道整備促進全国決起集会」(衆議院第一議員会館で開催)にて水道事業・強靭化の予算獲得に積極的に取り組む姿勢を強調した。2)下水道事業 下水処理施設への浸水被害の可能性が高い、約200の地方公共団体および約100河川について、雨水排水設備の整備や河川改修等の緊急対策を実施する。特に浸水による機能停止リスクの高い下水道施設、約70ヵ所(処理場30ヵ所、ポンプ場40ヵ所)、河川の排水機場約20ヵ所について、水密扉の設置やBCP(事業継続計画)に基づく災害時に必要な資機材の確保等の緊急対策を実施する。また北海道胆振東部地震における大規模停電を踏まえ、全国の下水道施設(処理場、ポンプ場)において電力供給停止時の電源確保や燃料備蓄の状況等の緊急点検を行い、非常用電源を保有していない、もしくは能力が不足している施設約1100ヵ所(処理場500ヵ所、ポンプ場600ヵ所)について非常用電源の設置や増強、BCPに基づく災害時燃料供給体制の確保等の緊急対策を実施する。耐震化については約3800ヵ所(処理場1300ヵ所、ポンプ場2500ヵ所)について実施、BCPに基づく早期復旧対策構築等、特に地震時に最低限の処理機能が確保されていない約500ヵ所(処理場200ヵ所、ポンプ場300ヵ所)については緊急対策を実施する。しかし政府の3か年緊急対策で完成は2020年度と定められているが、19年度の状況をみても各自治体の予算難で進捗状況は遅々としている(半面、各省庁は、概ね完了としているが……)。 この遅れに対し自民党の下水道事業促進議員連盟(額賀福志郎会長)は5月22日、党本部で総会を開き、日本下水道協会、日本下水道施設業協会からヒアリングを行い、更なる国庫補助の確実なる継続を柱にした決議を採択した。また同議員連盟は11月13日党本部で開かれた会合で、国土交通省から下水道事業予算概算要求と下水道事業の現状、さらには最近の自然災害による下水道被害とその対応について説明を受け、額賀会長は「先の台風15号、19号で下水道に甚大な被害があった。一日でも早く復旧・復興を成し遂げるために補正予算を含め、来年度予算獲得に向けて全力投球していきたい」と述べた。さいごに 年々増加する気象災害の激甚化や頻発化に対し、3か年緊急対策は応急措置で 第1907号 令和元年12月3日(火)発行(35)あり、本来の骨太となる国土強靭化とはほど遠いと言えよう。例えば、河川の氾濫等で浸水警戒区域に設置されている浄水場で、浸水対策がされていない浄水場は、全国で758ヵ所(全体の22%)にのぼっている。そのうち76%の578ヵ所は入口のかさ上げや防水扉も設置されていない、いつ水没してもおかしくない状態である。 下水道においてもBCP能力の不足している1100ヵ所の対策に早急に取り組むことが求められている。2020年度までの緊急対策は計画を延長しつつ予算を増やし、国民命を守るために恒久的で持続可能な上下水道インフラ構築に取り組むべきである。

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