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第3種郵便物認可 流域(国際河川)に位置する複数の国による適切な管理を求める内容で、「越境協調・水資源管理」の考え方が強調されている(ゴール6.5と6.6)。 SDGsの目指す方向は、技術面だけではなく、すべてのステークホルダーの社会参加を強く求めていることである。現在の社会では、貧困、食糧問題、水やエネルギー、森林や気候変動などの問題は相互に複雑に絡み合っており鳥瞰図的な視野を持たないと解決策が見えてこない。例えばゴール6「水」の達成にはグローバル・パートナーシップが不可欠であり、強いガバナンスが要求されている。またすべてのゴールは水の問題解決とも深く関わっている。例えば安全な水へのアクセスが改善されると児童や婦人の家事労働時間を低減することになり、教育の改善、労働の機会の増進、貧困の撲滅、ジェンダー問題の解決、保健衛生の改善、しいては経済成長の礎となる可 第1862号 平成 30年2月27日(火)発行能性を秘めている。 また下水道の技術的観点から、SDGsへの貢献策をみても大きな役割が期待されている。①安全で十分な水へのアクセス改善、②すべての人々に衛生的な環境を、③エネルギー問題の解決、④産業を支える技術革新の基盤、④住み続けられるまちづくり、⑤海と陸の豊かさを守ろう、など下水の得意分野である。 我田引水的に言えば「水問題の解決が最初に人権問題を解決し、その上で適切な水資源の運用と管理が行われれば、さらに経済成長を拡大させる、大きな呼び水」となるだろう。のすべての人々の普遍的な目標設定であり、政府はもちろん、それ以外のステークホルダー(NGO、NPO、企業、地方自治体、市民団体など)による目標達成の取り組みが重要視されている。2) SDGs…ゴール6「安全な水と衛生設備」の深堀り ゴール6の具体的なターゲットについては、2016年3月から6月にかけて国連の専門家会議で討議・決定された。◦ 6.1 安全で安価な十分な水の量へのアクセス◦ 6.2 適切かつ平等な下水・衛生設備へのアクセス、野外の排泄をなくす◦ 6.3 水質の改善として、有害な化学物質の排出を減らし、未処理の排水の半減、水の再生利用の促進、世界的に安全な水の再利用を目指す◦ 6.4 すべてのセクターでの水利用の効率改善し、水不足に悩む人々の減少を◦ 6.5 統合的な水資源管理として水の利用と循環だけではなく、流域や土地を一体として統合管理する、国境を越えた適切な協力推進◦ 6.6 水に関する生態系の保全と再生、2020年までに山地や森林、湿地、帯水層や湖などの生態系の保全と再生に力を入れる◦ 6.a 集水、海水淡水化、水の効率的利用、排水処理、リサイクルを含む開発。途上国の水と衛生分野で国際協力と能力構築支援を拡大◦ 6.b 改善された水と衛生分野の管理において地域コミュニティへの支援と強化 特に興味の深い項目は、水に関する生態系の管理において、同じ出所:http://www.un.org/sustainabledevelopment/(Ensure access to water and sanitation for all)国連/持続可能な開発サミット国連ニューヨーク本部(2015年9月)ゴール6「安全な水と衛生設備」出所:UNDP/India3.他のゴール項目達成に貢献する「水問題解決」

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