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EWSグローバル・ウォーター・ナビ 毎日のようにマスコミ媒体にSDGsが取り上げられている。国連が掲げたグローバル目標「持続可能な開発目標(SDGs)」が国連総会ですべての加盟国(193ヵ国、2015年)の賛成により採択され、それから2年半が経過した。その達成すべき17目標(ゴール)と169ターゲットに世界各国、国際機関、また大企業を中心に関心が高まっている。SDGsは世界が直面する貧困、飢餓、健康と福祉、教育、水と衛生改善、気候変動、平和と紛争解決などに現状の具体的な数値を提示し、その解決策を示唆する野心的な内容となっている。 国連の統計によると現在76億人の世界人口は2030年までに86億人、2050年には98億人へと増加の一途をたどる。気候変動の原因と第3種郵便物認可 言われている二酸化炭素の排出量もとどまるところがなく、2100年には世界の平均気温が産業革命前と比べ3.8℃も上昇し、生物多様性が失われる恐れがある。経済的な観点では最も豊かな人々(世界人口の1%)の資産総額が、残りの99%の人々の資産総額をはるかに超えているという報告もあり、貧富の格差は益々拡大すると予測されている。従来の開発は経済成長一辺倒で、その負の側面、例えば環境破壊や人権侵害、廃棄物問題などは十分に考慮されてこなかった歴史がある。国連の提唱する持続可能な開発(SDGs)とは将来世代を犠牲にすることがなく、現在の課題を包括的に解決する手法である。ここでSDGsの歴史的な背景と水問題を再度確認してみたい。第1862号 平成 30年2月27日(火)発行国連ミレニアムサミットで演説する森喜朗総理大臣(2000年9月7日) 出所:官邸ホームページ国連ミレニアムサミット後、国連の邦人職員を慰労する森総理(筆者は後列の中央)1) ミレニアム開発目標(MDGs)…2015年までの達成目標 ミレニアム開発目標(MDGs)は2000年9月、国連ミレニアムサミットで採択されたミレニアム宣言に、1990年代から開催された国際会議やサミットで採択された国際的な開発目標を統合し、一つの世界共通の大きな枠組みとしてまとめられたもので、単に「ミレニアム開発目標」と呼ばれている。筆者も2000年の国連ミレニアムサミットに国連本部職員として参加していたが、国連加盟国193ヵ国の首脳級の出席のもとに、多数の国際機関の専門家とNGO、NPOと激しい論戦が繰り広げられた。日本から森喜朗総理大臣が出席し、本会議場での演説や円卓会議での発言、またアナン国連事務総長との単独会談が行われた。ニューヨーク滞在中に森総理は、我々国連邦人職員を晩餐会に招いて下さり、帰りのお土産に金沢の銘菓をいただき、邦人職員一同「さすが気配りの政治家だ」と感激した覚えがある。吉村 和就[グローバルウォータ・ジャパン代表 国連環境アドバイザー]34持続可能な開発目標(SDGs)と水問題1.ミレニアム開発目標(MDGs)からSDGsへの変遷

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