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は1954年の「日本・ビルマ平和条約および賠償・経済協力協定」に始まり、有償資金協力は1968年より、無償資金協力は1975年より行われていたが、ミャンマーには延滞債務があり、政治的な不安定さもあり、1987年以降、人道的な案件を除き有償資金協力は一時停止していた。しかしミャンマーの民主化運動(2010年11月、アウン・サン・スー・チー女史の自宅軟禁措置が解除)の進展に伴い再開。平成23年度(2011年度)はマグウェー、カレン州、バゴー地区での洪水被害などに対し16億円(供与限度額)、平成24年度はエーヤーワディ地域の洪水被害対策に11.6億円、平成26年はバゴー地域西部灌漑開発事業に148億円、また少数民族向け河川水供給システムや雨水収集タンクの設置など、水と衛生改善に寄与する無償援助を積極的に行っている。 都市向けの上水道整備では、平成26年度、ヤンゴン市・無収水削減計画で21億円、マンダレー市・上水道整備計画では25.55億円、平成27年度には中央乾燥地村落給水計画として12.42億円を供与している。実施状況、例えばヤンゴン市の無収水対策事業(ODA資金約18億円の活用)では、東京都水道局第1860号 平成 30年1月30日(火)発行 の管理団体である東京水道サービス㈱と民間企業が設立した特別目的会社が、漏水調査、水道管の取り換えおよび修繕、水道メーターの取り換えおよび新設などを現地水道関係者に技術指導を行いながら実施している。またヤンゴン都市圏上水道整備事業・フェーズ1(円借款)では、2017年12月クボタグループ(クボタ、クボタ工建)が韓国企業ポスコと共同で総額約105億円の水道整備事業(第一工区、第二工区)を受注している。ポンプ場や消毒設備、送水管路を建設し、各工事で使用されるダクタイル鋼管やポンプはクボタが製造し供給する予定である。 2016年3月、アウン・サン・スー・チー女史の率いるNLD(国民民主連盟)の政権が誕生し、諸外国からの投資も活発になり、他の東南アジアをしのぐような勢いを見せているが、その変化に伴うインフラ整備が追い付いていない。ミャンマーの最大都市ヤンゴンの都市計画でも電力、道路、鉄道、上下水道などの都市インフラ整備が、増え続ける都市人口(約700万人)にまったく追い付いていない。これからが本当の国造りの始まりであろう。 ミャンマーには歴史的に親日派が多いが、経済の発展に連れシンガポール、ベトナム、中国、タイなどから多額の直接投資がなされ、日本は第7位に甘んじている。ミャンマーは日本にとり中国とインドに挟まれた地政学的にも重要な国である。また豊富な鉱物資源(天然ガスはアジア地域3位の埋蔵量)を有し、社会インフラ(電力、通信、道路、上下水道)が整えばASEAN地区の優等生になりえる国である。ミャンマーの持続的な経済成長を支援することは、日本の国益向上にも寄与することを確信している。 第3種郵便物認可森岡泰裕国交省下水道部長(右)と筆者2017ミス日本「水の天使」宮﨑あずささんも日本をPR(写真はすべて筆者撮影)4.さいごに

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