SEWグローバル・ウォーター・ナビ アジア太平洋諸国の水問題の解決を目指す「第三回アジア・太平洋水サミット(APWS)」が昨年12月11日から2日間、ミャンマーの最大都市ヤンゴン市で開催された。同サミットは水関連を統括している各国の閣僚、および国際機関の代表、水分野の各国の専門家などが一堂に会し幅広い意見交換を行う場で、首脳級を含め39ヵ国から水の専門家など約150人、ミャンマー側の参加者を含め約700名が参加した。筆者も同水サミットに参加し、ミャンマーおよび参加各国の要人と意見交換したので、その概要を述べる。 アジア・太平洋水サミットは日本が主体的に取り組んでいる水の国際会議である。その歴史的な背景は、第四回世界水フォーラム(2006年、メキシコシティで開催)で日本の皇太子殿下が基調講演「江戸と水運」を行い、さらに「国連・水と衛生に関する諮問委員会」の議長であった橋本龍太郎元首相が「アジア・太平洋水サミット」の設立宣言を行い、今日に至っている。 その骨子は、特にアジア太平洋諸国の水問題を解決することを目的とする首脳級を含む国際会議を定期的に開催することであり、具体的第1860号 平成 30年1月30日(火)発行 には特定非営利活動法人・日本水フォーラム(会長:森喜朗元内閣総理大臣)が事務局を務めている。◦ アジア・太平洋水サミット開催実績と成果 第一回アジア・太平洋水サミット(2007年12月、大分県別府市)では日本国皇太子殿下、オランダ皇太子殿下(当時)のご臨席のもとでアジア太平洋地域の水災害の解決を優先課題として討議された。最後に「別府からのメッセージ」を採択し世界に発信した。 第二回アジア・太平洋水サミット(2013年5月、タイ・チェンマイ)では水の安全保障と水災害のリスク低減への挑戦としてリーダーシップと責任を組み込んだ「チェンマイ宣言」を提言した。 オープニングセレモニーでは、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外相が主催国として「水資源の確保、安全な飲料水の供給など、国が経済成長を果たすために水の安全保障は不可欠であり、今回のサミットの成果を期待している」と挨拶。その後各国の代表が挨拶し、日本からは石井啓一国土交通大臣が「日本には水問題の解決、特に多くの水災害を克服してきた制度、技術、ノウハウが蓄積されている。これら日本の経験を皆様と共用し、アジア太平洋地域のさらなる発展に寄与したい」と力強く基調講演し日本の貢献策を述べた。◦ 日本の貢献 石井大臣の各セッションでの挨拶概要 石井大臣は、①気候変動下の水と災害、②水循環の再生として、雨水利用と持続可能な地下水管理、第3種郵便物認可水サミット参加各国の首脳吉村 和就[グローバルウォータ・ジャパン代表 国連環境アドバイザー]第三回アジア・太平洋水サミットミャンマー・ヤンゴン市で開催331.アジア・太平洋水サミットとは2.第三回アジア・太平洋水サミット…ミャンマー・ヤンゴン市で開催
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