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第3種郵便物認可 建設省が、水質管理は天然資源環境省が所管、個別事業は各省の人民委員会(自治体)に属する上下水道公社が担っているが、いずれも資金難に直面している。筆者もたびたびベトナムを訪問しているが、ハロン湾や中小河川の水質汚染や、集中豪雨で道路の冠水などを実感している。特に都市部の浸水被害が頻発し、単なる交通被害だけではなく、汚水の拡散による汚染物質の拡散や水系伝染性バクテリア・ウイルスによる健康被害が危惧されている。 ベトナム政府は、以下のような水インフラ構築の長期展望を挙げているが、すべて資金難に直面している。◦ 2025年までにレベル4以上の31都市は、下水処理場を完備する◦ レベル5の612自治体は同期間で50%の汚水を処理する◦中核都市の上下水道整備促進◦ 工業団地の排水処理、水のリサイクル利用促進◦農業用灌漑用水の効率化◦ 鉱山向け水供給と排水処理、排水水質の管理◦ 植栽用の散水、道路洗浄用水は排水の再利用水を20~30%使う◦ 既存の上下水道施設のリハビリ、漏水管理、老朽化対策など 今まで政府援助資金(ODA)でベトナムを支えてきた国々は、日本、フランス、ドイツ、スイス、オランダなどである。 特に日本はベトナムの水環境改善において、2006年から2010年までの水分野ODA(政府開発援助)実績では累積約15億ドル(全体の34%を占める)でトップであったが、近年は韓国に追い抜かれている。金額だけではない、日本のODA案件の遅さも問題である。ベトナムの下水道案件では、調印から着工まで平均5.3年かかり、他の案件(例えば運輸関係では3.3年、電力案件3.9年)に比べスピードが遅い(JICAベトナム事務所の報告2016年9月号)。他国は2年から3年で着工している例が多い。相手国の受け入れ側の問題もあるが、このままでは感謝されない日本となってしまう。 日本ODA、最近の動きでは2017年9月、JICAによる下水・排水処理システム改善に247億円の円借款の供与、同11月には日本政府とベトナム政府間で、水環境改善として300億円の円借款が調印された。しかし同年11月、ベトナム政府は韓国政府からODAとして2020年までに15億ドル(約1710億円)を借りいれる枠組み協定を締結したと発表している。ベトナムの都市化率の向上、経済発展につれ、多くの国が同国の水処理市場の獲得を目指し、熾烈な戦いが始まっている。 「Vietwater」はベトナムの最大の水処理展示会であり、今年度も 第1858号 平成 29年12月19日(火)発行ベースライン(%)2020年目標値(%)76%37%10%※55%アジア諸国向け「水と衛生分野」ドナー国別 ODA実績(2012~2015年平均値) 単位:US百万ドル順位1234567国名日本ドイツ韓国フランスオーストラリアスイスオランダ出所:OECD 2017年版報告書昨年に引き続きホーチミン市のサイゴンエキシビション&コンベンションセンターで11月8日から10日まで開催された。同時に水処理分野の国際会議及びテクニカルセミナーも開催された。◦開会式 8日の開会式において、ベトナム上下水道協会のカオ・ライ・クァン会長が「Vietwater2017を通じてベトナムの上下水道事業において大きな発展を促進する」と共に「国内外の水処理関連企業の交流の場として重要な役割を果たす」と挨拶。また、同国建設省のファン・ティ・ミー・リン副大臣が「展示会の開催において水処理に関する最先端技術及び商品の展示及び技術譲渡の場であると共に、ベトナムの公的機関及び企業が水処理に関するノウハウの交流と継承の場となることを期待している」と述べ、展示会開催に強い関心を寄せた。◦テクニカルセミナー 展示会期間中に開催されたテク85%75%45%※85%4年間平均値919390199.516886.563.557.5ベトナム 給水と衛生の目標分野都市型給水農村型給水都市型衛生整備農村型衛生整備出所:World bank(2013), Vietnam Water Supply Database 2010   ※は下水処理水ベース基準年20112011200920113.ベトナムの水インフラ整備は国際金融支援が主力4.ベトナム最大の水処理展示会「Vietwater2017」が開催

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