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⎡ビクトリア州海水淡水化施設 RO膜装置 ビルディング⎜⎣     (出所:Victorian Desalination Fact Sheet)     ⎤⎜⎦◦建設にあたっての留意点 オーストラリアでは漁業、生物等への影響を最小限にするために事前に十分な環境アセスメントを実施することが義務付けられている。 海水淡水化プラントの設計においても、例えば濃縮水に含まれている残留塩素は、微生物への影響がないようにプラント内で事前に分解することが必要である。また放流時には、濃縮水と海水とを急速に混合させ、濃度の影響を狭い範囲に収めるか、または発電所の冷却水と混合し濃度を低下させるといった対策が求められている。更にスラッジ等の廃棄物の処理も、廃棄・処分方法の十分な検討が要求されている。◦ 自然の風景をできるだけ壊さない◦ 植物相(木々、花類、草)に影響を与えない◦エネルギー使用を最小限に◦建物を20m以上にしない◦ 放流水のモニタリング(PH、DO、ED、温度、濁度など)◦ すべて第三者のレビューを受けること など 環境に十分配慮したプラント設計となっている。詳細は、https://www.aquasure.com.au/を参照ください。2-3 日本企業の参画 世界最大規模の海水淡水化PPP第1856号 平成 29年11月21日(火)発行 事業であるこのコンソーシアムの立ち上げ時には伊藤忠商事がおよそ100億豪州ドルを出資し事業経営に参加。また国際銀行団(30行)に邦銀の大手、三井住友銀行、みずほコーポレート銀行、三菱東京UFJ銀行が加わり、プロジェクトファイナンスを構成している。 また2017年10月には日本生命が同プラント運営プロジェクトに約156億円を融資したと報じられた。 2005年以降、機関投資家による投資判断は、ESG投資に変わりつつある。ESG投資より前は、SRI投資(社会的な責任投資)の言葉が良く使われていた。一部の投資家集団からは社会や環境を意識したSRI投資はリターンが低く、有効的な投資手法でないと否定的な見方が多かったが、昨今、環境や社会、ガバナンスを重視したESG投資は、投資リスクが少なく、同時に財務リターンも高いという概念が普及しつつある。今回のビクトリア州の海水淡水化プロジェクトも、計画段階から多くの環境規制(約221項目)をクリアし、多くのステークホルダーも参画しESG投資の観点から進められてきた。 日本においても大型の上下水道向けPPP/PFIの計画案が発表させているが、世界的な流れであるESG投資の観点から再度見直し、海外からの投資も積極的に受け入れるべきであろう。第3種郵便物認可RO膜トレイン建屋 左写真の手前は動力回収装置景観基準:建屋の高さは20m以内3 ESG(環境・社会・ガバナンスを重視した)投資

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