SEWグローバル・ウォーター・ナビ 国際水協会(IWA)主催の第七回アジア太平洋地域会議(IWA-ASPIRE)が9月11日から3日間、マレーシアのクアラルンプール・コンベンションセンターで開催された。 参加33ヵ国から様々な研究発表や技術の展示がなされる中、日本の水関係者は来年9月に東京で開催される「IWA東京・世界会議」に向けて、産官学一体で構成された「チームジャパン体制」で臨み、日本の水関連技術をPRするとともに、IWA東京会議への招致活動を強力に展開した。1.開会式 組織委員長を務めるアブドゥル・カディル・モッド・ディン・マレーシア水協会会長は「マレーシアは他のアジア諸国と同じように水不足や水質の汚染に直面していたが、政府のマスタープランに従い、水問題の課題解決に努力し、今やすべての州で安全で衛生的な水を供給できるようになった。近い将来迎えるアジア諸国の都市化による急激な水需要や水質の改善に向けて、私たちの今までの取り組みを皆さんと共有できることを嬉しく思います」と。さらに「皆さんと手を携えてアジア・太平洋地域のより良い水の未来に向けて第1854号 平成 29年10月24日(火)発行 境界を打破しましょう」と呼びかけた。昨年就任したIWAダイアン・ダラス会長は「水には境界がない、アジア・太平洋地域の水を“持続可能な未来の水”にするために、我々もその境界を打破しなければならない」と強調。さらに開催国であるマレーシア・エネルギー・環境技術・水省のマクシムス・オンキリ大臣が今回のメインテーマである「境界を打破し、アジア太平洋地域のより良き水の未来への発展に向けて」の成果が、「このアジア・太平洋地域だけではなく、世界が直面する多くの水問題の解決に貢献することを期待する」と述べた。2.日本から情報発信 チームジャパンは今回のマレーシア地域会議を2018年に東京で開催される世界会議の前哨戦と位置づけて勢力的に情報発信、口頭発表74編、ポスター発表20編と総発表件数の約3割を占めた。この会議には日本から170人を超える参加登録があり、外国人登録360名(事務局発表)の約過半数を占め、次期IWA東京・世界会議に向けての関心の深さが感じられた。技術セッションでは、従来の水管理や水処理技術の大項目に加え、「地球温暖化に向けたレジリエンスと適応策」、「水とエネルギー・ネクサス」など新しい視点の項目が聴衆の注目を集めていた。 会議2日目はIWAダイアン・ダラス会長も参加し「ウォーター・リーダーズ・フォーラム」が開催され、マレーシアのデバマニー・エネルギー・環境技術・水省・副大臣が同国の水環境改善の成果を発表。「我が国の水道普及率は95.9%を超え、水洗トイレの普及は都市部で93%を超えた。これからは最大の水需要先である農業用水の効率化、雨水回収や再生水処理に力を入れ、国連の持続可能な開発目標(SDGs)で残された水に関する課題解決を推進する」と宣言した。同会議に、日本からIWA国内委員会副委員長の吉田永日本水道協会理事長、東京都水道局の黒沼靖IWA世界会議準備担当理事、同委員の北海道大学松井佳彦教授ら東京会議の運営担当幹部らのほか、日本下水道新技術機構の塩路勝久専務理事、産業界から東京水道サービスの増子敦社長、水第3種郵便物認可ウォーター・リーダーズ・フォーラム基調講演する松井三郎京都大学名誉教授吉村 和就[グローバルウォータ・ジャパン代表 国連環境アドバイザー]~2018年IWA東京大会を目指して~30IWA国際水協会・第七回アジア太平洋地域会議 マレーシアで開催
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