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第3種郵便物認可 国際的にアピールする皇太子殿下の姿は、日本人の誇りである。2.特別会合の概要 特別会合は、第一回(2013年3月)、第二回(2015年11月)に続くもので、今回初めてハンガリーのアーデル大統領、モーリシャスのファキム大統領、ミャンマー・ヘンリーバンティオ副大統領など国家元首級が参加した。日本から二階俊博・自民党幹事長が日本国代表として講演。二階幹事長は、7月の九州北部豪雨の被害に触れたうえで、国土強靭化の重要性を訴え、「日本の知見や経験、教訓を、全世界に伝えていくことが日本の使命である」と強調した。 元首級の各講演の後、ハイレベル参加者による討議が行われた。オランダ国シュルツ・インフラ環境大臣が議長を務め、国土交通省の森昌文技監ほか、他国から6名の閣僚級や国際機関の高官が参加し、「水災害リスクの低減に向けた投資と資金確保」をテーマに討議した。森技監は、日本の経験を踏まえて、「防災は国のリーダーシップが重要」であること、「防災への事前投資を増やすことが重要」であることを指摘し、その実現のためには、①防災投資に関する原則を作成することや、②2016年9月の国連総会で採択された「水の行※2  水災害・リスクマネジメント国際センター(茨城県つくば市)動の10年(平成30年~40年)」の間は特別会合を定期的に開催することを提案した。◦ 科学技術特別セッションでは、小池俊雄・ICHARM※2センター長とカロンジ四川大学・災害復興管理学院長の共同議長により、水災害における科学技術の役割、災害リスクの低減を進める手法について討議。◦ 吉野直行・アジア開発銀行(ADBI)研究所長は、東海豪雨による矢作川洪水を例に、水災害が社会に与える直接・間接的な被害を定量的に分析し、地域GDPに及ぼす影響を検討した研究成果を発表。◦ 海洋と水と災害パネルでは、プリスコリ世界水パートナーシップ技術委員会議長の司会により、海洋に焦点を与えながら、世界における防災と環境保全の連携について討議された。3.日本の貢献 最近では、世界の水問題に洪水などの水災害が入ることは当然と受けとめられているが、20年前はそうではなかった。「第二回世界水フォーラム」(2000年、オランダ・ハーグ市)に参加した日本政府関 第1850号 平成 29年8月29日(火)発行係者は、水災害が世界の水問題として扱われていないことに衝撃を受け、「第三回世界水フォーラム」を日本に誘致して、水災害を主要テーマの一つに加えた。それ以降、日本は皇太子殿下が名誉総裁を務める「国連水と衛生に関する諮問委員会」や「水と災害ハイレベル・パネル(HELP)」、「アジア・太平洋水サミット」、「世界水フォーラム」などのグローバルなチャンネルを活用し、国家の発展には水災害への対策が重要であることを世界中にPRしている。 今回の特別会合では、防災への事前投資を増やすため、投資原則を作成することが提案された。今後は、水と災害ハイレベル・パネル(HELP)で具体的な検討が進められていくと思われる。さらに本年12月ミャンマーのヤンゴン市で開催される日本が主導する「第三回アジア・太平洋水サミット」の場も活用し、防災大国・日本が世界の水問題の解決策をリードしていくことが期待されている。【左】皇太子殿下のビデオ基調講演【右】国連本部 特別会合会場(ともに日本水フォーラム提供)第五回世界水フォーラムでの皇太子殿下の講演(筆者撮影)

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