タイの洪水被害地図・被害状況第3種郵便物認可 失は世界全体の10%以上に相当すると発表している。日本企業への影響 タイに進出している日本企業数は1370社(外務省、2010年10月調査)で東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の中で最も多い。日本からアジア諸国向けに輸出される大半が部品や資材の中間財である。その中間財がタイで加工され世界へ輸出される構造で、国際的な分業体制(サプライチェーン)が構築されている。日本貿易振興機構(JETRO)等の調査によると今回の洪水では、主要工業団地内の約804社が冠水被害を受け、そのうち日系企業は約486社であった(全体の約60%)。その結果サプライチェーンが長期に亘り寸断され、日本企業に甚大な被害が及んだ。その被害総額の算定は非常に難しいが、少なくとも日本の損害保険会社が日本企業に支払った保険金の総額は9000億円を超えている。2-2.ベトナムの水問題 世界中の企業が生産基地として注目しているのがベトナムである。もちろん日本企業にとっても有望な進出先である。日本と同じ南北に細長い国土、まじめで勤勉、手先も器用なベトナム人、世界中から多くの企業がなだれ込んでいる。ベトナムの水環境・汚染の実態 降水量は日本より多く乾季に対応する貯水施設を持てば水量は確保できる。 問題は全国的に表流水、湖沼、地下水において水質汚濁が激しく進行していることである。ハノイやハイフォン、フェといった大都市では、主要河川のBODやアンモニア性窒素など国が定めた環境基準を大きく超え下水並みの水質である。この原因は未処理のまま排出される生活排水、工場排水などが挙げられる。ベトナムには現在290以上の工業団地があるが、最近の調査でも、中央排水処理設備を設置しているのは15%程度で、毎日数百万立方メートルの汚染水が流域に排出されている。さらにベトナムでは産業村(Craft Village)と呼ばれる伝統地場産業(繊維、染色、メッキ、食品、畳な第1794号 平成 27年6月23日(火)発行林立する工業団地計画 海外企業進出の受け皿になっているのが工業団地である。現在ベトナム全土で約290の工業団地があり、造成申請中が約200ヵ所あると言われている。殆どの工業団地では3千トンから3万トン/日の工業用水の供給能力を有している。料金については、製造用とオフィス用とで差がある場合も多い。水質については保証がないので、独自に純水装置などを備える必要がある。問題は排水処理である。殆どの工業団地では排水処理設備も完備とうたっているが、その排水処理能力は給水能力と比べ、本来なら7割から8割の受け入れが望ましいが、処理能力2、3割の団地も多い。工場から排出される高濃度の汚染物質は独自に処理し、団地内函渠に放流するが、放流基準や紛争の際の解決手段も明記されていないケースも多い。日系商社による工業団地 比較的安心なのが、日系商社により開発された工業団地である。住友商事の「タンロン工業団地」、双日による「ロテコ工業団地」、三菱商事による「ベトナム・シンガポール工業団地①、②」などが有名である。2-3.ミャンマーの水問題 世界中の企業が、いまミャンマーに注目している。天然ガスや石油など豊かな資源を有しながら、アジアの最貧国に甘んじてきたミャンマー。民主化の動きを受けて欧ど)の集落が何千と存在する。廃水処理は無きにひとしく、未処理のまま河川に放流されており、全土の水質汚濁に拍車をかけている。
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