する集中豪雨で道路などが冠水している。3.水資源量と水インフラ ブラジルの国土面積は日本の約22倍(851万km2)で年平均降水量は1782mmであり世界最大の水資源量(8233km3/年)を有しているが、水インフラが未整備であり水資源使用率は0.7%と世界最低クラスである。◦同国の上下水道サービスは①自治体による直接サービス、②地域・州の事業体への権限移譲による間接供給サービス、③民間企業への運営権売却(コンセッション)による間接サービスという三つのパターンで実施されている。 例えば州で経営している上下水道会社の代表格はサンパウロ州が大株主のサンパウロ基礎衛生公社(Sabesp)でニューヨーク証券取引所にも上場している巨大企業である。 この企業は1973年に設立され、サービス人口は同州の人口の約6割、2870万人に供給している。2016年の売り上げは4200百万ドル(約4620億円)、利益は905百万ドル(約995億円)を計上し、従業員は1万4900人である。その他ミナスジェライス州の州営企業コパサ(Copasa、サービス人口1460万人)などが知られている。◦サンパウロ州のような大都市部では上水道普及率は96%、汚水収集率は86%(但し汚水処理率は58%)と高いが地域間格差(水資源や経済状態、人的資源)が大きく農村部や遠隔地ではこれから上下水道の整備が求められている。また無収水率(漏水、盗水などで第1847号 平成 29年7月18日(火)発行 収益にならない水)は37%と高く、水道料金として回収できていない。同国政府は2033年までに上下水道普及率を90%以上にする政策を掲げているが資金難に直面している。4.下水道の普及率は平均65% ブラジル地理統計院(IBGE)が2017年2月に発表したデータによると08年の下水道アクセス世帯は59.3%から2015年には65.3%に増加した。人口でみると1030万人がアクセスできるようになった。しかし地域ごとの格差が大きく、南東部の下水アクセス世帯は88.6%であるが、北部では22.6%にとどまっている。水道についても南東部では92.2%世帯が安全な水にアクセスできるが、北東部は79.1%となっており、上下水道とも地域格差が大きい。 同国都市省は国家基本衛生法が施行(2007年)されてから10年間に1200以上のプロジェクトを完成させ、上下水道設備事業、排水設備などの工事に200億レアル(6800上下水道サービス人口2870万人1700万人1460万人1030万人 600万人第3種郵便物認可 (出所:NOAA and the National Weather Service from measurements of the ブラジルの上下水道サービス企業衛星写真/ブラジル干ばつリスク地図AVHRR sensor onboard the POES satellite)事業者・企業名サンパウロ州基礎衛生公社オデブレヒト社ミナスジェライス州衛生公社パラナ州衛生公社カリオカエンジニアリング社で地域格差が大きい
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