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第3種郵便物認可 方式(MED)が16%、逆浸透膜方式(RO)が20%である。脱塩方式も従来の蒸発方式から省エネである逆浸透膜(RO膜)方式に転換が進んできている。 SWCCは将来不足する水需要に対処するために、2年以内に淡水の生産量を日量520万m3に引き上げ、2025年までに約800億ドル(約8兆8千億円)を投資し日量850万m3造水を達成する予定を立てている。さらに海水淡水化装置のエネルギー消費量を半減させることを計画している。また同国で300以上の造水プラントを維持管理しているNWC社は今後6.7ビリオンドル(約7370億円)を投資し淡水化装置の効率改善、パイプラインの延長や更新事業を推進する計画である。◦再生水利用 下水処理場は2011年時点で全国に33ヵ所あり、15ヵ所が建設中である。再生水の利用率は約18%で主に農業利用である。 国家目標では、2020年までに下水の再利用水として日量90万m3、2040年までに下水総量の90%を再利用する計画であるが遅々として進んでいない。6.サウジ向け水ビジネス、日本どうする 世界最大の海水淡水化市場のサウジ、既に水メジャーと言われるフランス系のスエズ、ヴェオリアはEPC(設計・調達・建設)コントラクターとして大規模プロジェクトを実施している。さらに韓国の斗山重工業(ドーソン)、スペインのアベンゴア(ABENGOA)、シンガポールのハイフラックス(Hyflux)社、最近ではIBM-ダウ・ケミカル連合体、さらには米国ブラック・アンド・ビーチ(Black & Veatch)などが活発に活動している。既に国営SWCCは、民営化に備え独自にデュポン・サステナブル・ソリューションと海淡全体の効率化、エマーソンとプラントの自動化、グラハム・テックと海水淡水化のプロセス見直しを契約している。 中東地区で日本の水技術が評価されてきたのは、ササクラや日立造船、三菱重工の蒸発法、酉島製作所や荏原製作所の大型ポンプの信頼性、また海水淡水化膜では、海水の汚染に強い東洋紡のRO(中空糸)膜、海水腐食に強い二層ステンレス鋼などである。しかしい 第1845号 平成 29年6月20日(火)発行ずれもシステムの一部や部材であり、大きなプロジェクトを牽引する立場に置かれていない。日本独自の戦略として、今後は海水淡水化装置の高効率化と省エネ対策、さらにRO膜装置からの高効率の動力回収装置(電業社)や漏水率の改善ノウハウ(東京都の漏水率は3%以下)の提供などを網羅し、具体的には一般財団法人・造水促進センターや一般社団法人・海外水循環システム協議会(GWRA)などを活用し、システムの高効率化を伴う総合的なプロジェクト・ビジネスに傾注すべきであろう。部品大国・ニッポンからの脱却が急務である。参加企業日本企業が関与したサウジ向け海水淡水化事業プロジェクト ラービク 発電・蒸気・造水シュケイク 発電・造水アル・ジュベール C4 海淡リハビリシュアイバ・フェーズ2 海淡増設※1:コントラクター、またはサブコントラクターで参入した企業※2:機器単品納入企業(膜、ポンプなど)は記載していないサウジアラビア国営企業(SWCC) 海水淡水化に800億ドル投資(出所:http://www.swcc.gov.sa/english/Pages/Home.aspx)プロジェクト事業開始年事業方式IWSPP2005年2007年2014年2015年(各種資料をもとにGWJ作成)丸紅、日揮、伊藤忠商事、三菱重工三菱商事、三菱重工(BOOT)IWPP(BOO)EPCササクラ、伊藤忠商事EPCササクラ、伊藤忠商事

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