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■■■■■業化、④みずほ銀行とは、都市インフラの整備が掲げられている。3.サウジアラビアの水事情 サウジは世界の海水淡水化総量の約20%を生産・消費する世界一の海水淡水化王国でもある。水は水・電力省(MOWE)およびナショナル・ウォータカンパニー(NWC)、海水淡水化公団が国営企業として活動している。さらに民間企業も独立発電業者や造水事業者として水事業に参加している。 2016年の造水量は日量800万m3であり、水の用途は、飲料水が61%、工業用水27%、発電用水6%などであり、2020年までに日量2000万m3に増強する計画である。その中心となっている国営・海水淡水化公団(SWCC)は30の海水淡水化プラントを所有(日量460万m3造水能力)、さらに56ヵ所のポンプ場設備、21の送水設備、約7175kmの輸送パイプラインを保有している。同国内で使われる飲料水の5割は海水淡水化から、4割は地下水(化石水)、1割は表流水から得られている。首都リャドへの水供給はペルシャ湾から467kmのパイプを通して送られてきている。長距離輸送により水質の劣化や断水の被害も報じられている。また老朽化したパイプラ第1845号 平成 29年6月20日(火)発行 インからの漏水率も高く、日量100万m3を超えている。さらに2000年頃からサウジ政府は、発電造水(IWPP)民間企業から海水脱塩水を高値で購入し、安値で販売しているために水道事業は常に赤字であり、政府の補助金で成り立っている。しかし今まで無料(94年まで完全無料で水供給)の水を使うことに慣れた国民は節水の意識は全くなく一日一人当たり約300リットル使用している。4.サウジ水ビジネス市場…118 英国の調査会社(GWI)や米国商務省の予測によると、今後のサウジ水ビジネス市場は107ビリオンドル(約118兆円)と予測している。また現在国営企業で行われている海水淡水化事業の52%を民間企業に売却する方針も打ち出され、これから熾烈な水ビジネス展開が開始されるであろう。具体的な水事業の民営化計画では、①官民パートナーシップ(PPP)プログラム、②BOT、BOO、DBOプログラムの進行管理、③都市部の水道事業と下水処理事業は2018年までに政府からNWCに移転される予定である。◦海水淡水化の動き サウジは世界最大の海水淡水化設備能力を有している。現時点では蒸発方式である多段フラッシュ方式(MSF)が64%、多重効用缶第3種郵便物認可海水淡水化・トップ11の国(出所:GWI DesalData)海水淡水化の送水パイプライン 海水淡水化公団(出所:http://www.swcc.gov.sa/english/Pages/Home.aspx)老朽化する海水淡水化施設と大きな漏水率(出所:SWCC: Operation & Maintenance – Facts & Figures 2009)兆円

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