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タブリーズノウ・シャールテヘランダマーバンド山コムケルマーンシャーデズフールイスファハーンヤズドアフワーズアバダーンシーラーズブーシェフルアサルイエマシュハドビールジャンドケルマーンザーヘダーンバンダレ・アッバースチャー・バハール第3種郵便物認可 品があるので前向きに参画して欲しいと語った。◦イランの水問題 同国の水資源の総量や地下水の問題を含め、水危機となっている要因を簡単にまとめると以下のとおりである。① 急激な人口増加による水需要の増大 1950年の1700万人が2010年に7900万人と4.6倍になった。② 気候変動(地球温暖化)による水の蒸散の増加、蒸散量は18%増加している。③ 地下水使用量の増大 手動汲み上げ式ポンプから電動水中ポンプの使用で3.4倍の水使用増大④ 同国最大河川ザーヤンデ川の断流、水量の低下、汚染水の流入、塩水化が進行している。このザーヤンデ川はザグロス山脈を水源とし、イスファハン州を南北に分けながら横断し、ガブフーニー湖に入り最後は砂漠へと消える全長420kmの内陸河川である。⑤ 老朽化した水インフラで漏水が多発 筆者は2015年11月、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)-イラン政府共催の水ワークショップ(テヘランで開催)で講演した 第1837号 平成 29年2月28日(火)発行イラン地図が、水関係者の中で一致した話題は「地球温暖化の影響でカスピ海とテヘランとの間のアルボルズ山脈(東西約千km、最高峰は5670m)の積雪が激減」しており、今後積雪による雪解け水が期待できないことであった。◦上下水道普及率 UNICEFやWHOの調査では、都市部の水道普及率は96%(2011年)であるが、英国のGWI社の調査では全国の水道普及率は20.6%、下水道は22.8%(2012年)という数字が示されているが公式の発表はない。◦ 同国第6次5ヵ年計画(2016年~2021年)…水分野予算 水不足解消のために水を管轄するエネルギー省への予算措置は今後、約76兆リアル(約2400億円)が海水淡水化による造水、排水再利用、水資源保護に使われる見通しである。◦日本の支援 2014年5月、日本政府はオルミエ湖(中東最大の塩水湖、流域には640万人居住)再生のためにUNDPを通じた支援を行っている。①オルミエ湖の統合水資源管理プロジェクトの実施、②長期専門家派遣によるオルミエ湖の水政枯れたザーヤンデ川(2008年)川床が歩行者通路に策分野への助言、③節水型農業の開発・普及、④水に関するワークショップやセミナーの提供などである。◦ エネルギー大臣の発言…水問題解決 イラン国内はセミドライ、いわば干ばつに直面している。まずは水資源の確保であり、特に水資源の90%を使用する農業の灌漑マネージメントが急がれている。節水農業(ドリップ方式など)や温室栽培に力を入れたい。流域の水マネージメント(ザーヤンデ川など)や地下水の管理(カナートの整備、地下水位のモニタリング)、工業・産業用水の再利用促進も重要な課題である。海水淡水化の新設、都市問題では安全な飲料水の確保、節水機器の普及に力を入れる。また違法な農業井戸が沢山あるので、ライセンスを厳しく制限する方向である。日本には世界に誇れる水管理・水処理技術があると聞いているので積極的にイラン市場に参入して欲しい。日本とイランとはペルシア時代から長い付き合いがある。具体的には双方でワークショップの開催、政府と民間が手を携えてテヘランに来ることを期待していると語った。

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