EWSグローバル・ウォーター・ナビ 国際水協会(IWA)ブリスベン総会が10月9日から4日間、豪州・ブリスベンのコンベンションセンターで「水未来の形成」をメインテーマに開催された。IWA総会は2年ごとに開催される世界的な水会議で、各国の政府関係者、自治体、環境分野にかかわる企業や研究者・専門家が100ヵ国以上から5500人集結した。今回の論文発表数は約350編、ポスター発表は約500編、展示会への出展企業・団体は200ブースを超えている。特に次回2018年のIWA総会は東京で開催されるために、会場には多くの日本人関係者が参加し、日本開催のPR、および情報収集やIWA幹部との意見交換を行った。1.基調講演 オープニングセレモニーの基調講演はグンター・パウリ氏で「ブルーエコノミー」によるゼロエミッション構想を語った。グンター・パウリ氏は世界で200以上のプロジェクトの経験から「海水利用による農業生産」や「水に係るエネルギーの削減策」などを提唱。筆者はグンター・パウリ氏が国連大学の学長顧問として東京に就任(1994年~3年間)して以来、日本型ゼロエミッション(ある産業の廃棄物を別の産業の資源として第3種郵便物認可 活用する産業クラスター)の構想構築で意見交換している。 さらにオーストラリアの政治家でビクトリア州副首相を務めたジョン・スウェーツ氏が「持続可能な都市の発展に向けて我々は何をすべきか」を熱く語った。2.技術セッション 技術セッションはテーマ別に4日間開催され、本来の水処理技術の研究発表に加え、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)パリ協定を踏まえた「都市の水管理の強靭化」、「水の安全性の確保」、「水資源の確保と、その効率的な運用の在り方」、そして「水災害、水資源不足に政治的リーダーはどう取り組むのか」など、大きなテーマが目立っている。キー第1831号 平成 28年11月22日(火)発行ワードで整理すると「ウォーター・ワイズ:水の賢さ」を基礎に持続可能な都市形成を目指すために「レジリエンス:しなやかな強靭性」で気候変動や経済・社会の構造変化に対応できる水分野の社会的な認知度向上や具体的な行動策が討議された。 個別技術セッションでは、次のそれぞれの分野で発表や意見交換が熱心に行われた。◦飲料水の安全性◦地球温暖化とどう向き合うか◦上下水道サービスの強靭化◦ 農業における水のマネージメント◦持続可能な都市の水管理◦ 化学産業や薬粧業界の水管理と排水処理◦ 生物処理における微生物学的なリスク問題◦水とエネルギーの未来 など 特に筆者が興味を持ったのは、ブリスベン・コンベンションセンター基調講演の模様吉村 和就[グローバルウォータ・ジャパン代表 国連環境アドバイザー]20国際水協会(IWA)世界会議が豪州・ブリスベンで開催~水未来の形成をテーマに、次回は2018年東京で開催~
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