■■■■■■■■ ・干拓堤防工事 堤防工事は昭和33年度から38年度まで行われ、ヘドロの表層を掘削して良質な砂で置き換え、その上に築堤する工法がとられた。その砂はすべて八郎潟の砂でヘドロが堆積していない地点から採取された。ヘドロ表層の掘削には、カッター式浚渫船「八竜」が活躍し、砂の採取には日本初のサクション式浚渫船「双竜」が活躍した。堤防工事で使われた砂の総量は2500万m3(東京ドーム20個分以上)であった。同時に砂で盛られた堤防を波浪から防ぐために、堤防の外側に大きな石を置く捨石工事は5年間行われ、その採石は八郎潟の東側に位置する筑紫岳から切り出された。総採石量は124万tを超え、筑紫岳の形も大きく変わった。・干拓地の排水工事 干拓地は調整池や承水路より水位が低いために、陸地化するためには排水する必要があり、また完成してからも常に干拓地内の水を取り除くために排水機場が設けられた。排水機場は安定した地盤をもつ男鹿市払戸に南部排水機場、三種町鹿渡に北部排水機場が建設され、排水能力は毎秒40m3とし、排水機場までの導水のために中央干拓地を貫くように中央幹線排水路が、さらに多くの排水支線が設けられた。南部および北部の排水機場は、その後順調に稼働していたが、昭和第1827号 平成 28年9月27日(火)発行 58年に発生した「日本海中部地震」により建屋や基礎のクラックやポンプ主軸の変形などの被害を受け、機能が低下した。そこで平成8年度から19年度まで行われた国営農地防災事業により両排水機場は全面改修され、現在の姿となっている。◦防潮水門の建設 八郎潟は汽水湖であり、海水が混じりこのままでは農業用水として使えないので、日本海と調整池を遮断する防潮水門が設けられた。この防潮水門工事は昭和34年から36年まで行われ、水門延長は390 m、その内、可動堰は10門(219 m)、固定堰1門(171m)が設けられた。計画洪水量は1435m3/秒であった。この防潮水門も、日本海中部地震により被害を受け、同・国営農地防災事業により全面改修され、計画洪水量は1630m3/秒に増え、14門の水門で水位調節機能が強化された。3.基幹施設の管理 調整池は船越水道に設けた防潮水門により、日本海からの海水流入を遮断し、干拓地および周辺耕作地の水源となっている。中央干拓地は総延長51.5kmの堤防で囲まれ、干拓地区内の排水は中央幹線排水路両端に設けられた南部排水機場、北部排水機場および支線排水路に設けられた浜口排水機場、方口排水機場で排水されている。1)排水機場(目的とポンプ仕様)◦ 南部排水機場…中央幹線排水路の排水 排水ポンプは立軸斜流型、計4基で口径2200mm、1450kW、12m3 /秒が2基、口径1800mm、970kW、8m3/秒が2基で合計40m3/秒の排水能力である。◦ 北部排水機場…中央幹線排水路の排水 排水ポンプは立軸斜流型、計4基で口径2200mm、1460kW、12m3 /秒が2基、口径1800mm、980kW、8m3/秒が2基である。◦ 浜口排水機場…西部承水路の管理水位保持 排水ポンプは立軸軸流型、口径第3種郵便物認可干拓地縦断面 高低図(出所:八郎潟基幹施設管理事務所)(中央干拓地は海面下-4.8mからー1.0mに位置する、干拓堤防と排水機場が命)排水ポンプ設備 立軸斜流ポンプ(荏原製作所) ◦口径2200mmx2基 12㎥/S/基 電動機 1,450kW ◦口径1800mmx2基 8㎥/S/基 電動機 970kW 最大排水量 40㎥/S/4基南部排水機場(筆者撮影)■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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