SEWグローバル・ウォーター・ナビ 2016年6月14日から16日まで中国上海で開催された、中国最大級の水に関する展示会・「アクアテック・チャイナ2016」を視察した。アジア最大の水関連市場にビジネスチャンスを見出そうと国内外を含め2019社が出展、また期間中の訪問者は5.6万人に及んだ(うち外国人は83ヵ国から7千7百人、事務局発表)。今回は進展する中国の水ビジネス事情と、その後、現場視察した上海の都市ごみ焼却炉を紹介する。1.中国の水ビジネス事情 中国の第12次五ヵ年計画(2011-2015年)では、2015年まで約8兆円の水市場が期待されていた。その投資額も汚水関連(処理場、管路網)に5兆円、再生水処理に4千億円、汚泥処理などに4千4百第3種郵便物認可 億円、工場排水処理に1.6兆円、さらに海水淡水化が加わり、実数はともかく大きな市場の争奪戦が展開された。昨年までは中国の水処理および水関連業界は、需要に支えられ、驚異的な業績と飛躍を見せた。その一方、大型企業の躍進の陰で中小企業が相次いで買収併合や淘汰されるなど業界構造に大きな変化がもたらされた。従来の設備売りから、O&M、BOTやM&A戦略を経て企業の巨大化、寡占化による市場獲得へと進んでいる。今後の市場拡大とプロジェクトの細分化が進む中で、水処理各社の新たな挑戦が始まっている。1)水十条 その背景となるのは昨年4月に国務院が公布した「水十条」である。環境保護部は「水十条」を実施することでGDPを約5.7兆元(約第1822号 平成 28年7月19日(火)発行106兆円)、環境保護産業の新規生産額1.9兆元(約36兆円)を創出すると計画している。主要項目では①PPPプロジェクト、国家発展委員会では約36兆円のPPPプロジェクトを公表している。②汚泥処理処分では、明確な処理処分を要求し、不法行為に対する徹底的な取り締まりと、90%処分率の達成時期を2020年に設定している。③汚水排出基準値の引き上げでは、国家1級B基準から国家1級A基準を要求。大気汚染問題(PM2.5)と相まって水質汚染問題も国民の大きな関心事で、巨大な水市場のさらなる拡大を促している。このような背景下でアクアテック・チャイナが開催された。2)アクアテック・チャイナ展示会 水に関する中国最大の展示会で、敷地面積15万平方メートルを超す国家展覧中心で開催された。出展社は2000社を超え、浄水設備、飲料水設備、汚泥処理、汚水処理設備、膜・部品、ろ過装置、薬剤などが幅広く展示されていた。 目新しい技術の展示はないが、再生水用の膜処理、汚泥処理市場の拡大で大型脱水機の展示も見られた。最も驚いたのは浄水器コーナーである。300社を超える浄水器メーカー、販売店が、沢山の来場者にそアクアテック・チャイナ 展示会場(国家展覧中心)吉村 和就[グローバルウォータ・ジャパン代表 国連環境アドバイザー]中国の水ビジネスと都市ごみ焼却炉ビジネスの現状16
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