第3種郵便物認可 市場が限定的なものになっている。限られた超純水市場であるがオルガノ・テクノロジー社(島田健・董事長/総経理)は頑張っている。非公式であるが、毎年70~100億円近い売り上げをしている。これは顧客に密着した営業努力と現地至上主義(本社に相談していたら対応が遅れる)の成果であろう。今後の明るい材料としては、台湾政府が大規模工場や新設工場から排出される排水を85%以上回収するように義務付けを開始したことである。水回収率規制に適応できない企業には罰金やペナルティ、操業停止処分なども織り込まれている。 今後は水回収の前段としてMBR(膜式活性汚泥方式)の市場が拡大するものとみられている。では台湾膜の実力はどうであろうか。 今回の世界ろ過会議に併設された展示会でも、台湾発の独創的な膜の展示はなかった。高尾市にある中国製鐵の水リサイクルセンターを視察したが、ここでは米国GE製のRO膜が使用されていた。説明員によると台湾で使われているRO膜の8割はGE製とのこと。 また、台湾で先端的な膜を開発している中原大学薄膜開発研究センターを訪問し意見交換したが、新しい膜の製造より、むしろ最新鋭の分析機器(ポジトロン解析機、SEM、生物原子力顕微鏡など)を駆使し既存膜の構造解析や、膜汚染(バイオファーリング)のメカニズム解析に注力している印象であった。 膜の世界では、新しい膜の保証性能を得るためには数年かかるので、むしろ既存膜のファーリングをいかに早く防止または洗浄するノウハウを持つことの方が膜ビジネスに役立つであろう。 第1818号 平成 28年5月24日(火)発行ろ巨大市場である中国への足掛かりとして活用すべきであろう。台湾は既に中国政府と自由貿易協定(FTA)を結び、多くの品目が台湾で組み立て、無関税で中国へ輸出できる体制になっている。中国の水処理市場は巨大である。例えば中国の水処理膜市場の市場規模、チャイナ・ウォーター・リサーチ(内藤康行代表)報告によると2020年までに2000億元から2500億元(約3.8兆円~4.8兆円)の市場が見込まれている。まさに世界最大の水処理膜市場が展開されるであろう。 いままで多くの日本メーカーは中国市場に単独で挑み辛酸をなめてきたが、まずは台湾企業と手を組み、最終的に中国市場を狙うのも一つの選択肢である。中原大学:薄膜研究開発センター(台湾・中壢市)左側:LFPI視察団 右側:中原大学・李魁然教授(一番左)とスタッフ台日・液体清澄化技術検討会(2016年4月15日、台北市)4.台日・液体清澄化技術検討会 日本側から松本幹治・横浜国立大学名誉教授が団長で、造水促進センター、オルガノ、ユニチカ、旭化成ケミカルズ、安積濾紙、マイクロテック、新栄化学産業、グローバルウォータジャパンなどが参加、台湾側から、台湾大学、淡紅大学、中原大学の各教授および台湾側の水関連企業とお互いの技術内容の発表と意見交換を行った。 詳しい内容は日本液体清澄化技術工業会のホームページをご参照ください。5.台湾における今後の水ビジ 台湾市場は限定的であり、むしネス市場
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