■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■国では最低レベルである。 食料自給率が低い原因の一つは、畜産業では輸入した高額な飼料で飼養しているためである。農林水産省の統計に拠ると、牛の飼料の場合、稲わらや牧草などの粗飼料551万トン-TDN(総可消化成分)のうちの22%を、トウモロコシや大豆粕などの濃厚飼料1978万トン-TDNのうちの90%を各々輸入に頼っている。このため、国際的な飼料価格の高騰と高止まりの影響を受けやすく、更には円安傾向が畜産農家の経営を圧迫し畜産業は年々衰退する傾向にある。この対策として、その地域に賦存する地場資源を活用することで安価で安全な国産飼料を生産し、その地域の林業や畜産業を支えるとともに、食料自給率を向上させることは、大きな国家的目標であると言える。白樺から和牛のエサ造りの実証実験事業の概要 木質飼料生産に係る実証実験事業モデル地区は北海道東部の北見市である。北見市の主力産業は一次産業であり、なかでも畜産業は重要な地位を占めている。地域の未利用木質材を活用し、亜臨界水処理技術を使い、低コストで高品質な粗飼料を生産することができれば、将来の林業や畜産業の振興にとって大きな意味がある。 この実証事業では、原料として北海道で豊富に得られる白樺のチップ材を選定し、亜臨界水処理第1814号 平成 28年3月29日(火)発行 装置(容量2m3)で高品位な飼料を製造した。北見の中野牧場において黒毛和牛の成牛17頭に給餌する。比較の為、そのうち5頭が従来型の稲わら給餌法で行い、他12頭が新木質飼料給餌法で飼育することとした。 具体的には約8ヵ月間(235日)連続して飼養実証を行い、その間に黒毛和牛の健康度や枝肉の肥育効果等を確認し、木質粗飼料の品質や収益性を検証した。具体的には地元の廃棄物処理業者の㈱エースクリーンが中心となり、白樺チップ供給会社、和牛を飼育している中野牧場、獣医師や畜産専門家と地元の精肉店が連携し実施された。実証事業の結果 原料の白樺は、北海道では普通に繁茂する木材資源であり、その多くが未利用材となっていることから、比較的低コストで安定して入手することができた。亜臨界水で処理することにより病原性微生物が侵入するリスクは存在せず、畜産業者として安全・安心で使える地場産の高品質粗飼料が生み出された。 ①亜臨界水反応装置で処理した白樺チップ材は、リグニン層が破壊され内部のセルロースが露出し、和牛が消化可能な栄養分(TDN)の含有量が多い良好な粗飼料に変わった。セルロースの一部は糖化し、更にその一部が有機酸に転換された結果、甘酸っぱい香りで和牛にとり嗜好性が高い粗飼料が得られることがわかった。 また、新木質飼料の飼養量は1頭当たり最大800kg/日で、体重増は従来の稲わら飼養法よりも大きく、脂肪の質や肉食などもそん色がなかった。従って、白樺チップ材から得られる新木質飼料は、従来の国産稲わらや輸入する外国産稲わらの代替粗飼料となりうることが確認できた。 ②外国産の稲わらや乾草の輸入価格は、トン当たり凡そ500ドル(6万円)であるのに対して、亜臨界水反応装置による新木質飼料の生産コストは白樺チップ材の購入価格を含めても3万5千円前後で、十分な価格競争力を持つと云える。 従って、この新木質飼料の生産実証実験モデルは地域内での林業と畜産業連携に基づく地域活性化効果が生まれることが期待できる。ただし木材資源は広葉樹(糖分が多い)が望ましい。2-2.高機能な堆肥生産 堆肥化そのものは既知の技術である。通常バイオマスを好気性発酵させ、有機物を低分子化して得られる生成物を有機肥料として利用する。ただ、好気性発酵時間は通常1―2ヵ月程度掛かるので、臭気や用地確保が問題となりやすい。そこで亜臨界水処理を用いて発酵時間の短縮と堆肥の高機能化を目指した取り組みである。事業の概要 資源循環産業モデル地区は、台湾・宜蘭県で、同国の首都台北に隣接する農業県である。近年、台湾では有機農業は食の安全性への関心が高まり、有機農業に有効な高機能性堆肥へのニーズが高いことが事業の背景にあると考えられる。 この事業では、バッチ式の亜臨界水反応装置(容量2m3)二基を用い、食品残滓や鶏糞を日量20トン(年間6千トン)受け入れている。処理生成物は、10日間ほど放線菌発酵プロセスにかけ、最終的第3種郵便物認可木質から飼料への実証事業モデル(北海道・北見市)【提供:㈱エースクリーン】■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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