SEW■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■グローバル・ウォーター・ナビ 最近、亜臨界水処理が注目されている。亜臨界水処理は、現在日本が抱えている大きな課題、例えば地域創生(地域に新産業と雇用の創出)、食料自給率の向上やCOP21の国際公約(温暖化ガス26%削減)などを一挙に解決しようとする決め手の一つである。臨界水・亜臨界水処理の歴史は古く多くの研究がなされ、一言で言うと「あらゆる有機物を低分子に切れるハサミであり、その反応条件により完全分解、加水分解、油化、抽出ができる」のが亜臨界水処理である。下水道の分野では80年代から多くの水処理メーカや電機会社が亜臨界水処理の研究開発に取組み汚泥の減容化やメタン発酵の促進に関し多くのパテントが出されている。だが大規模で実施されている例は少ない。それは高温高圧で取り扱いが難しく、容器の腐食が激し第3種郵便物認可 い、バッチ処理が主であり経済的な合理性を取りにくいなどの理由であった。だが最近、簡便な亜臨界水処理装置が開発され、資源創造の分野で活用が期待されている。1.亜臨界水の特徴~超臨界水 超臨界水とは、下図に示すように、374℃以上・220気圧以上の超高温・高圧状態の水の物理化学的な状態のことを示す。この超臨界水は液体の水の密度のまま大きな熱エネルギーを得て、ダイオキシンやフロンなどの有害物質を短時間で分解する。酸化剤が存在すると、有機物は瞬時に分解され、二酸化炭素と水に転換される。ただし超高温高圧条件に耐えるためプラチナ製など頑丈な圧力容器が必要であることから、コスト的に実用化が難しい方式である。一方、第1814号 平成 28年3月29日(火)発行超臨界水よりも低い200℃、20気圧前後の亜臨界水状態では、水分子(H2O)はH(プロトン成分)とOH(水酸化物成分)に分割して処理対象物に取り込まれ、短時間で加水分解反応を引き起こす。これにより高分子の有機物は、微生物が利用しやすい低分子化合物に転換され、有価物の生成、機能性堆肥やメタン発酵に適した物質に転換される(例えばタンパク質はアミノ酸に、デン粉はブドウ糖、脂肪は低級脂肪酸に、セルロースはグルコースに転換)。亜臨界水処理は超臨界水処理と異なり、酸化力は殆どなく、二酸化炭素まで分解されることはない。また圧力容器もステンレス製であれば、実用に供することができる。2.資源化への適応例 亜臨界水処理を用いた資源化の産業モデルとして、①未利用の木材資源から家畜の飼料を作る。②堆肥化の生産モデルでは、家畜糞尿や食品残渣から高機能の肥料造りなどがあり、さらに③メタン発酵の高効率化による発電モデルなどがある。2-1 未利用木材資源からの高質飼料生産 わが国の食料自給率(カロリーベース)は40%程度であり、先進亜臨界水処理装置(提供:G8インターナショナル㈱)(亜臨界水領域の内、200℃以下、1~2MPaを反応に用いる)亜臨界水と超臨界水の温度・圧力条件2Mpa■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■374■■224■■■■■■■■■■■■■■■■■との比較■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■吉村 和就[グローバルウォータ・ジャパン代表 国連環境アドバイザー]亜臨界水処理技術による地域創生12
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