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■■■■■■■■3974■■■■■■■■■■■■■■■■■1466■第3種郵便物認可 2)ザーヤンデ川が消滅する恐怖 ザグロス山系付近の降雨量は130ミリであり、大半は積雪として蓄えられている。この積雪が地球温暖化の影響で年々減少している。最近では2008年から10年にかけ、たびたび川が枯れる恐怖に直面した。ザグロス山系から流れ出ている中小河川は10本くらいあるが雪解け水がなくなると消滅する川である。しかしザーヤンデ川のように全長400キロ(日本最長の信濃川は367キロ)が消滅し、流域人口300万人に水が供給できなくなったのである。また最終貯水地ガブフーニー湖も淡水の流入が少なくなり塩水化が激しくなっている。これまた農業用水に使用できなくなっている。3)ザーヤンデ川の水管理 2010年からイラン政府・州政府はドイツ政府の技術と資金援助を受け近代的な水資源・河川管理プロジェクトを開始した。取水から配水路までの河川管理、水需要の分析や節水農業など共同作業で持続可能な水資源の活用を進めている。日本のイラン向け水関連援助は、2007年からセフィード川の水資源管理、2013年から枯渇が危惧されるウルミエ湖の水管理技術援助を行っている。6.今後のイランとの付き合い方 経済制裁解除の可能性が報じられてから、欧米企業は積極的にイラン国内でビジネス展開を始めている。すでに70を超える経済使節団が送り込まれている。当然である、イランは天然ガス埋蔵量世界 第1809号 平成 28年1月19日(火)発行一、石油埋蔵量は世界第四位である。日本の戦略とすれば、国民生活になくてはならない水問題解決に注力すべきであろう。日本にはイランが直面している水資源管理や水処理技術(下水処理や再生水技術)などすべての課題をクリアできる技術があるが、プロジェクト資金の確保が問題であろう。親日家が多いイラン共和国に向けて日本政府や日本企業は積極的にビジネス展開を図るべきである。ザーヤンデ川にかかるス・オ・セ橋筆者撮影2015年11月ザーヤンデ川の流域図枯れたザーヤンデ川(2008年)川床が歩行者通路に

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