第3種郵便物認可 生だということは知っているが、目の前の蛇口から“10日に1回くらいしか出ない水道”を待っていては生活ができないから川の水に頼っている」と。これらの状況を改善するため国際機関(UNICEF)や豪州政府、スイスなどが資金援助しているが、外国人の現地入りが制限されているために効果が確認されていない。これは外国人向けのパンフレットに掲載されていた珍しい写真である。金正日(キム・ジョンイル)総書記が水道の出をチェックしている。つまり国家的な目標を示していると言えよう。【写真2】3.北朝鮮の下水道事情 1960年代に旧ソ連から援助された浄水場や下水処理場が存在すると言われているが、定かではない。仮にあったとしても老朽化で使えなくなっているだろう。 平壌では2010年から13年にかけてクウェート政府からの援助(約28.3百万ドル、約34億円)を受け下水処理場や下水管を整備したと言われているが、現実にはポンプ場のみであり、ほとんどが無処理のまま大同江(テドンガン)に放流されている。 農村部は当然ながら汚水処理はなく、川の水や井戸水は汚染された飲料水となっている。国連の調べによると北朝鮮の乳児死亡率はアジア36ヵ国の中で最高(1000人当たり23人)となっている。4.北朝鮮の電力事情◦北朝鮮付近の夜間衛星画像 昨年、NASAが発表した北朝鮮付近の衛星画像が世界中に衝撃を与えた。 これを見れば電力事情の説明は不要であろう。北朝鮮はまるで海 第1805号 平成 27年11月24日(火)発行のように真っ暗であり、首都平壌や数ヵ所の都市がわずかに光っているだけである。昼に見た平壌市内の高層ビルも半分位しか点灯していない。【写真3、写真4】 照明がついているのは省庁や国の施設、キム親子を讃える記念碑やモニュメント、さらに労働党幹部の住宅や軍関連施設である。もちろん我々、外国人が逗留する指定された高級ホテルは24時間給電写真2 水道の出をチェックする金正日総書記(2010年10月)写真3 北朝鮮付近の衛星画像(2014年2月26日NASA撮影)写真4 平壌市内の高層ビル群(2015年10月7日筆者撮影)
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