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SEW5m)d/3m nocapac detcartnoc weNilli( yti019802015101990Actual20002010Forecast20202030ProjectedSource: DesalData.comグローバル・ウォーター・ナビ 世界的な水不足が深刻化している中、海水から真水を作る海水淡水化市場が急拡大している。特に中東地区では、潤沢なオイルマネーによって水インフラの中核として海水淡水化プラントの建設が活発化している。さらに北アフリカの産油国やスペイン、さらに北米大陸や中国などでも海水淡水化プラントや低濃度塩類除去(かん水)プラントの建設がラッシュである。つまり淡水化は、河川水や地下水が枯渇する中、水不足の解消に役立つ大きな武器として世界中に広がりつつある。 今回は世界で拡大する淡水化市場とその課題について述べる。1.淡水化市場の動向 現在、世界150ヵ国以上で約1万5000の脱塩プラントが稼働しており、約3億人に淡水を供給している。しかし、その造水量は世界水需要の2%以下であり今後の飛躍的な市場展開が期待されている。1)市場の伸び 最近発行されたグローバルウォーターインテリジェンス(GWI)と国際脱塩協会(IWA)の報告によれば、過去5年間の脱塩プラントの処理能力は57%増加し、世界の脱塩能力は784万m3/日(2013年)となり、これは2008第3種郵便物認可 年当時の1.65倍となっている。年間の平均伸び率は9.6%と予想され、2020年には13年度比2.5倍になると予測している。市場規模は2025年時点で4.4兆円から7兆円と大きな開きがあるが、これは今後のオイルマネーの動向、途上国の都市化による水不足状況と経済の発展度合によるものとみられている。この背景は現在の所、海水淡水化プラントの建設コストや維持管理コストが高く、さらにはエネルギー多消費型の造水方法だからである。【図1】2)市場動向 脱塩対象水の内訳は海水淡水化用が約6割で、低濃度塩水(かん水)用が約4割である。伝統的な巨大市場は中近東(湾岸諸国)であったが、最近は中近東以外の地第1801号 平成 27年9月29日(火)発行域に拡大している。湾岸諸国以外のトップ10の国は米国、中国、リビア、オーストラリア、イスラエルなどがランクインしており、その造水能力も拡大している。 例えば豪州メルボルンの海水淡水化能力は44.4万m3/日、アルジェリアでは50万m3/日、イスラエルでは51万m3/日の造水プラントが建設され稼働している(日本最大は5万m3/日)。【図2】3)中国の海水淡水化市場 今まで中近東や米国の市場動向については多くのレポートが出されているが、中国の海水淡水化事情について明確な数字がなかった。チャイナ・ウォーター・リサーチ(内藤康行代表)の調査によると、2014年末現在、中国全土で建設された海水淡水化プラントは112件で、その造水規模は92.69万m3/日である。そのうち1万m3/日級以上のプラントは27件で、特に天津、山東省、浙江省、河北省、遼寧省に建設されている。造水された水源は主に工業用水(発電所、石油化学工場)で約7割が使用され、残りは都市給水(飲料水など)に使われている。河川水や地下水の7割以上が汚染されている中国では海水淡水化は第3の水源とし図1 世界の脱塩市場 2030年までの長期展望吉村 和就[グローバルウォータ・ジャパン代表 国連環境アドバイザー]世界の海水淡水化市場と課題06

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