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SEWグローバル・ウォーター・ナビ 5月1日から新元号「令和」となり皇太子・徳仁親王は、新天皇に即位された。 筆者は、世界水フォーラムについては京都で開催された第3回から第7回まで、また国連で開催された「水と災害に関する特別会合」、さらに「アジア・太平洋水サミット」「国際水協会(IWA)東京総会」など多くの国際会議に出席し、新天皇の「水に関する造詣の深さ」を直接拝聴してきた。誠に僭越ながらここに改めて「天皇陛下の世界に発信し続けてきた水研究の足跡」を振り返って紹介してみたい。1.国際的な活躍 水問題については,皇太子時代に学習院大学で「中世の瀬戸内海の水運」を研究なされ、さらに留学先の英国オックスフォード大学で「18世紀のテムズ川の水運」を研究、36歳だった1997年には「陸上交通と水上交通が、どのような補完関係にあったか研究を深めたい」と発言している。それから20年以上も水研究のメッセージを国内外に発信し続けている。国際舞台への転機は第3回世界水フォーラムであった。1)平成15年3月に名誉総裁としてご臨席になった「第3回世界水第1896号 令和 元年7月2日(火)発行 ▲皇太子殿下(当時)「第5回世界水フォーラム」でのご講演 (2009年3月トルコ・イスタンブール。192ヵ国から3万2000人参加) 演題:「水とかかわる ―人と水との密接なつながり―」 江戸時代の利根川の治水・利水についての一コマ(筆者撮影、他の写真も)フォーラム」の開会式(京都)において「京都と地方を結ぶ水の道 ―古代・中世の琵琶湖・淀川水運を中心として―」と題した記念講演をなされた。このフォーラムには約180ヵ国・地域から約2万5千人が参加、世界に広がる水不足や水質汚染、ますます深刻化する水災害の現状が報告された。2)平成18年3月にメキシコをご訪問になった際には「第4回世界水フォーラム」全体会合において「江戸と水運」と題した基調講演をなされ、特に利根川の東遷(江戸を洪水から守るために利根川の流れを変えた)や干拓、江戸の水道(玉川、神田上水)構築に取り組んだ日本の歴史を紹介された。第3種郵便物認可3)平成19年12月には「第1回アジア・太平洋水サミット開会式」(大分県別府市)において「人と水 ―日本からアジア太平洋地域へ―」と題した記念講演。4)平成20年7月にスペインをご訪問になった際には2008年「サラゴサ国際博覧会・水の論壇」シンポジウムにおいて「水との共存 ―人々の知恵と工夫―」と題した特別講演を行い、特にスペインの生んだ偉大な作家セルバンテスにちなみ「ドン・キホーテと風車」について講演、参加者から大きな拍手が寄せられた。筆者は帰路、陛下が講演で触れられたスペイン・セゴビヤの「ローマ水道橋」を視察、長期的な視野に立って水の安定供給を実現させたローマ人の構想力に感動した。5)平成21年3月にトルコ・イスタンブールで開催された「第5回世界水フォーラム」において「水とかかわる ―人と水との密接なつながり―」と題した基調講演を行った。6)平成24年3月にはフランス・マルセイユで開催された「第6回世界水フォーラム」において「水吉村 和就[グローバルウォータ・ジャパン代表 国連環境アドバイザー]天皇陛下、水研究の足跡~水研究のメッセージをご公務に~49

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