日本液体清澄化技術工業会と視察(左から3人目が筆者)後方は卵形消化槽ケルン・スタンハイム下水処理場国際河川ライン川に放流COD除去率:96.8%第3種郵便物認可 1)ドイツの上下水道の状況 ドイツの上下水道の普及率は高く、上水道普及率は99.2%、下水道普及率は95%である。もちろん都市部における上下水道普及率は、100%である。下水道管の管路延長は54万km、下水道事業に関しての民間参入率は20%で、他の欧州諸国と比べると低い。これは公社制度を取っているものと思われる。2016年度における上下水道の市場規模は、約218億ドル(約2.6兆円)と見込まれている。 地域における水資源管理については主に各州政府(全16州)が担っており、国際河川にかかわることや、各州政府間の権限調整については連邦政府が担っている。いままでは州の権限が強かったが、近年改正された水管理法では連邦政府の権限が強化され、表流水、地下水等の管理では、全国で統一した条件が導入された。人にはできない発想である。仮に国内で、このように提案しても社のお歴々や広報部に却下される内容である。グローバルビジネスの展開はやはり現地をよく知るスタッフをフル活用すべきと痛感した。2.ケルン・スタンハイム下水処理場視察 フランクフルトから、電車に乗り約190km離れた大聖堂で有名なケルン市に移動、同市のスタンハイム下水処理場を視察した。2)スタンハイム下水処理場訪問 この処理場はケルン市内にある五つの下水処理場の中で最大規模を持ち、下水処理するとともに新規プロセスの研究開発ラボ、新人のトレーニングの場にもなっている。ドイツは下水処理量を人口当量で表している。この処理場の人口当量は157万EWである。通常時の処理量は4.7m3/sであり、雨天時の流入は9.2m3/sである。 基本フローは日本とほぼ同じであるが、特徴は二段目の生物処理にアナモックス菌処理を採用し、硝化脱窒素処理を行い、また余剰汚泥は卵型消化槽(1万1000m3×5基)でメタン発酵させ、発電(ディーゼル発電機、2000kW×4基)している。ガスホルダーは3000m3/基×3で9000m3のガスを貯留できるシステムとなっている。処理後の放流水水質は、CODで45mg/LでEU枠組み指令の基準値第1796号 平成 27年7月21日(火)発行◦処理人口当量:1,570,000EW◦通常処理量:1.8~4.7m3/s(ピーク時)◦雨天時処理量:9.2m3/s◦年間処理量:78,841,311m3/年◦日平均処理量:219,000m3/日よりかなり低く抑えている。リンは0.3mg/L(EU基準は1.0mg/L)、またT-Nは10mg/Lで除去率80%以上をクリアしている。日本の下水処理場と比べると広々とした敷地に理想的に配置している印象である。今後の課題は、初期の建設から30年以上経過し、老朽化対策と省エネ化の推進とのこと。あとがき 世界最大級のアヘマ見本市に日本企業の出展、また日本人の参加が少ないことが気にかかる。グローバル化を目指すなら積極的に若手社員を派遣し「世界の市場動向を肌で感じさせる」ことが必須である。市場が減少する国内市場で過当競争を繰り返している限り下水道の未来は開けないだろう。■■ュ■■■■■ュ■■■■■■■■■■ュ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
元のページ ../index.html#12