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EWSグローバル・ウォーター・ナビ 「シンガポール国際水週間(SIWW)2018」が「革新的な水環境ソリューションの共同創造と、共有するグローバルなプラットフォーム構築」を主要テーマとしてシンガポール、マリナ・ベイ・サンズ・コンベンションセンターで開催された(7月8日から12日)。今回で10回目を迎えるアジア最大のSIWW国際会議は、世界各国の政策関係者や水問題の専門家、水に関する各国の関係機関トップが一堂に会し、ワークショップやビジネスフォーラムを通じ、水に関する諸問題を幅広く討議する場である。特に今回は国際水協会(IWA)東京大会(18年9月16日から東京ビックサイトで開催予定)の前哨戦として、数多くの日本人関係者の参加も見られた。◦開会式 開会式でシンガポールのターマン・シャンムガラトナム副首相は、世界各国からの参加者に歓迎の意を示すとともに、シンガポールの国家戦略として、①持続可能なスマートシティの構築、②水とエネルギーと廃棄物のネクサス(ツアスで実証中)、③革新的な技術開発をもって持続可能な国造り策を紹介した。シンガポールの強さとして水関連会社200社以上、25の第1876号 平成 30年9月11日(火)発行 水に関する研究開発(R&D)センターの存在、さらに水に関する専門家4000人以上を有する優位性を強調した。 次に国賓で招かれたスリランカのラニル・ウィクラマシンハ首相は「私が学生の時、このシンガポールに来た。その時シンガポールにはスラム街に囲まれた植民地風邸宅が沢山あった。あれから50年リー・クアンユー元首相の強力な指導力でシンガポールは劇的な変化を遂げ、アジア最大の豊かな国になった。今スリランカの首都コロンボはメガシティを目指している。インフラ整備など我々はシンガポールと協調し、その政策、技術、ノウハウを学ばなければならない」と述べた。既にスリランカとシンガポールは18年1月に自由貿易協定(FTA)を締結済みで相互で経済開発に邁進している。◦合同基調講演 9日は「SIWW」、「世界都市サミット」、「クリーン環境サミット」の3大イベント合同で約2000人の参加者を前に基調講演が行われた。冒頭、シンガポール大学のトミー・コー教授は、「世界人口の7割が都市に住み、水の果たす役割が年々重要となっている。また温第3種郵便物認可SIWW開会式・基調講演暖化の影響とみられる水災害も頻発」している。「自然災害に強いレジリエンスで持続可能なスマートシティを作るのが、我々に課せられた使命」であると強調した。◦シンガポールの国際水ビジネス シンガポールはアセアンの議長国でアセアン諸国(タイ、カンボジア、ベトナムなど加盟10ヵ国)に対し、“持続可能なインフラ整備”を積極的に支援(資金、技術、ノウハウ)する方針を示し、経済開発庁(EDB)や公益事業庁(PUB)を中心に支援活動を活発化している。会期中EDBやPUBのブースには、多くのアセアン諸国の水に関する政策リーダーが招かれている。 海外水戦略では長年にわたり水企業・ハイフラックス創設者であるオリビア・ラムCEOを「アジアの水の女王」と掲げ、国内外の水ビジネスを展開してきたが、ハイフラックス社は過剰投資と電力事業のつまずきにより現在、民事再生中であり、代わりに国(EDBやPUB)が前面に立ち海外水ビジネスを推進している。◦国内市場でノウハウ習得、世界 国内市場のノウハウを即ビジネスに活かす戦略も素晴らしい。同国、水再生・Tuas Nexus2期プロジェクトでは、総額5ビリオン・戦略企業と協調吉村 和就[グローバルウォータ・ジャパン代表 国連環境アドバイザー]40シンガポール国際水週間(SIWW)2018~アジア最大の水国際会議・EXPO展示会~

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