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第3種郵便物認可 は海外の援助資金に頼っている。また民間向けには、工場排水処理や再生水ビジネスがあるが、主体となる水処理膜の価格も、中国製と思われ価格は日本の三分の一程度、組み立てコストも日本の五分の一である。従って日本製品を売り込むのは無理である。◦日本の水戦略は インドの特徴である「格安で高度に集積された水に関するIT」を持つ企業と組み、日本勢は世界市場、特に東南アジアの水ビジネス拡大に取り組むのが最善と思われる。 さらにR&D拠点としてのインドの大学・研究機関の活用である。 インドには優秀な人材が多い、どんな国にも人口の0. 01%は天才的な人材がいると言われている。人口母数の多いインドはIT産業などで実証済みである。アメリカのIT産業はインド人で成り立ってい 第1873号 平成 30年7月31日(火)発行るとも言われている。インド工科大学マドラス校、アンナ大学、ヒンドスタン大学では産官学の連携がホットである。特にインド工科大学のリサーチパークでは世界260企業と提携している。5.さいごに インドは地政学的に優位で中東や中央アジアに近く、日本やアジア諸国にとり、重要な交通路である。またインド(印僑)はアフリカ諸国に大きな影響力を持っている。そのため日本にとりインドと友好的な関係を持つことは極めて重要である。インド向け水ビジネスはこれからであるが、相手のニーズ、要求度合いを確かめつつインド企業や大学と共同歩調をとり、逆に彼らの強力なプレゼンス能力を活用し、インド国内市場やアジア諸国、アフリカ向け水ビジネスを新規開拓する時が来ている。ウォーターインディアEXPO展示会場タタ・グループのブースタタ・グループのインフラ責任者と意見交換3.第五回ウォーターインディア2018EXPO視察 ウォーターインディア2018 EXPOが5月23日から3日間、インドの首都ニューデリーのコンベンションセンターで開催された。◦水EXPO会場 水EXPOの会場では、東南アジアの展示会に見られるような、水の浄化システム・機器展示、関連する膜処理技術、海水脱塩などは、まったく見られず、インドの誇るITを水管理に応用した展示のみが目立った。ブースで際立ったのはインド三大財閥のタタ・グループである。タタ・グループは自動車、鉄鋼、IT、電力を主体とした企業(売上11兆4千億円(2017年)、従業員66万人)が本格的に水事業に乗り出してきている。タタ・グループのプロジェクト責任者によると、現在の水に関する事業は次のように展開している。◦ITによる水資源管理◦ガンジス川の浄化・保全◦下水処理場の建設◦ スマート・シティ計画での水の総合管理◦ボトル水の販売 その他、安全な飲料水をリモートエリアに供給できる5m3/時能力の小型浄水装置、ソーラーパネルを搭載したRO/UF膜使用の小型浄水装置、トラック搭載型(山間部、水災害地対応)RO膜使用浄水装置などを扱っている。4.日本の水ビジネスチャンスは 残念ながら、インドではスズキ自動車以外、日本の技術は、ほとんど知られていない。前述のように公共の上下水道整備も、政府にその資金がなく水インフラの構築

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