第3種郵便物認可 ボーディングの人々が来る「ブラボッグビーチ」で浜辺には多くの下水放流管がみられる。今年の2月、同国の環境天然資源省は、汚水を適切な処理なしに放流している51の施設に「水質浄化法違反の疑い」で警告を発し、早期是正を求めていた。同国の環境管理当局の報告では、西側ホワイトビーチでの糞便性大腸菌群は基準内であり安全だが、下水放流先の東側海岸では基準より高く海水に直接触れないマリンスポーツを推奨している。だが現地の水専門家の話では、この水質分析は月一回のサンプリングで、しかも海岸から100m離れた場所で採水しているので当てにならないと指摘している。現実、多くの観光客からは、海岸道路を歩くと波打ち際が臭い、海水はブルーならぬグリーン(青潮の発生)だ、海に入ったらヒリヒリ(藻類の毒)したとの報告が相次いでいる。4.水道施設と下水処理 同島の水道水供給と下水処理は2009年にマニラウォーター社とジョイントベンチャーで設立したボラカイウォーター社が運営している。地元政府と25年間のコンセッション契約であり施設の運営、メンテナンス、リハビリテーションを担当、一日の給水量は約6000m3で、一ヵ所の下水処理場を管理している。同契約時の対象観光客数は最大100万人、地元住民は3万人であり、契約条件の2倍の観光客が押し寄せているのが現状である。同社はボラカイ島の水環境改善のマスタープランを同国中央政府や地元政府に提出しているが、未だに予算の目途が経っていない。5.日本の貢献策は 日本国による対フィリピン向け政府開発援助(ODA)はドナー国の支出ベース(2014年実績)で世界最大の援助国(473億ドル)となっている。・下水問題を短期に解決するには、日本が世界に誇る浄化槽が最適 日本の浄化槽技術は90年以上の技術の蓄積があり、日本国内の浄化槽利用人口は1124万人(平成26年、環境省)である。パッケージ型・大型合併浄化槽(FRP製)に関しては、すでに高濃度の栄養塩類を除去できる担体流動性生物活 第1869号 平成 30年6月5日(火)発行性汚泥法や、高度処理として水処理膜を適応した膜分離式活性汚泥法が開発され、多くの実績を有している。パッケージ型大型合併浄化槽(例:フジクリーン製7200人槽、360m3/日)の現地据え付け工事は1~2週間で完了し、地元の雇用や地域の活性化に貢献できるだろう。さらに個別の浄化槽にICTを応用すれば、流量や水質をスマホでも管理ができる。また浄化槽からの発生した余剰汚泥も日本の誇る無臭バキューム車で収集運搬しコンポスト化(肥料化)することにより野菜(現在、全量を輸入)の栽培や緑地の拡大に寄与できる。アジア・オセアニア地域には、同じような課題を抱えているリゾート地は沢山存在する。 例えばインドネシアのバリ島、筆者は20年程前に行ったが、その当時から汚水問題があり、最近はごみ・廃棄物問題に直面している。タイでは古くからパタヤビーチやプーケット島の汚水問題、マレーシアではペナン島、モルジブもしかりである。日本はフィリピンの有名なリゾート地セブ島の水道施設や廃棄物処理に関し2007年から資金援助してきたが、相手国政府の動きが遅く、目に見えるような環境改善にはなっていない。今回はODA緊急支援基金を活用し、世界に誇れる日本の浄化槽技術を持って短期決戦で水質改善をしよう。日本の浄化槽技術は水質問題の解決だけではなく、現地の雇用の促進や新産業創造にも貢献できるだろう。今回のドゥテルテ大統領の直命「ボラカイ島の下水道問題を短期に解決せよ」は、日本にとり、世界から注視される国際貢献であり、また大きなビジネスチャンスでもある。ボラカイ島 ホワイトビーチ
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