第3種郵便物認可 繁栄を果たす水の役割と科学技術、気候変動と水災害等をトピックとしたご講演で、水は人々の生活と安定と社会の発展に欠かせない要素であり、人類はその歴史において「繁栄、平和、幸福」のために水に働きかけてきたことを表され、将来の更なる水行動への期待を述べられた。 筆者は第三回世界水フォーラム(2003年、日本)、第五回(2009年、トルコ・イスタンブール)では水フォーラム会場で皇太子殿下の基調講演を直接拝聴し、また第六回(2012年、フランス)、第七回(2015年、韓国)では殿下のビデオメッセージを拝見したが、講演に使われているほとんどの写真は、皇太子殿下自ら現地に赴き撮影されたものである。皇太子殿下は必ず日本人と水とのふれあいの歴史に触れられるとともに、世界の水問題に言及され、水にかける叡智や情熱を国際社会に発信し続けている。今回も講演の最後には「21世紀は水による繁栄・平和、そして幸福の世紀であったと後世の人々に呼ばれるようになることを願っている。引き続き、私も水問題解決に強い関心を持って見守っていきたい」と締めくくられ、会場から大きな拍手がわき起こった(皇太子殿下のご講演内容の詳細については宮内庁のホームページを参照。http://www.kunaicho.go.jp/page/koen)。3.パビリオン 世界水フォーラムの開催に合わせ併設された展示会には各国、地域、環境団体、企業など87のパビリオンが出展され、世界最大規模の水イベントを盛り上げた。各国のパビリオンでは、かつての世界水フォーラムの開催国である、モロッコやオランダ、日本、フランス、韓国等のほか、ポルトガル、イスラエル、中国、また第九回開催予定国のセネガル等が出展、積極的にPRを行っていた。◦ 日本政府主催の日本パビリオン(企画運営協力:日本水フォーラム) 20日には皇太子殿下が、「健全な水循環」に向けた官民一体の取り組みを展示する日本パビリオンをご視察された。日本パビリオンには22の企業・団体が出展し、今年9月に東京で開催される「国際水協会(IWA)東京総会のPR」とともに日本の水に関する技術・取り組み・文化などを積極的に発信した。4.第八回世界水フォーラムの 同フォーラムには172ヵ国から約12万人が参加、水に関するすべての話題が討議された(主催者発表)。その成果は次の通りである。◦「閣僚宣言」 この宣言の実現のために「水に関する確固たる行動への緊急アピール」として56ヵ国の大臣56人、 第1867号 平成 30年5月8日(火)発行副大臣14人により、「水と衛生の課題に関する11の優先的アクション」が採択された。◦「ブラジリア憲章」 今回の世界水フォーラムの特長として、水資源に関わる紛争に最終的な判断を下す立場の司法裁判関係者が初めて参加したことが挙げられる。「水の共有」というテーマが反映され、この憲章が成果として発表された。57ヵ国から裁判官や検察官が83人参加、9ヵ国が署名した。◦「サスティナビリティ宣言」 今後の大きな目標として、今回の世界水フォーラムで新設された「サスティナビリティ」フォーカス・グループにおける議論の深堀りと実行、特にSDGs・ゴール6「水と衛生」について、世界水フォーラム参加国や組織が主体的に取り組み、世界の水問題の解決に貢献することが盛り込まれた。 次回の世界水フォーラムは、2021年、アフリカ・セネガルで開催される。【取材協力・写真提供:日本水フォーラム】日本水フォーラムが「地域プロセス」のコーディネーターを務める「地域プロセス」での討議成果と今後の目標
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