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EWSグローバル・ウォーター・ナビ 地球規模の水問題を議論する3年に一度の国際会議「第八回世界水フォーラム」がブラジルの首都ブラジリアで3月18日から6日間の会期で「水の共有(Sharing Water)」を主要テーマに開催された。会議には172ヵ国から各国の元首級・閣僚級、政府機関、国際機関、企業、NGO/NPO、市民など総勢約12万人が参加。20日には閣僚宣言が採択され、最終日23日には、今後の世界水フォーラムが目指す目標「水問題に関わる持続可能な開発目標(SDGs)の達成」に向けて世界中の水関係者が協力し行動を起こすことが決議された。日本の皇太子殿下は、19日の開会式でお言葉を述べられたほか、水と災害に関するセッションで基調講演をなされた。1.第八回世界水フォーラムの主要テーマ 今回の世界水フォーラムは国連のSDGs採択後初の大きな水の国際会議として世界中から注目を集めた。「水の共有」を主要テーマに水の専門家約1万人(主催者発表)が参集し17のハイレベル会合のほか、5つのグループ(①テーマプロセス、②政治プロセス、③地域プロセス、④市民プロセス、⑤持続可能性プロセス)ごとに計300第1867号 平成 30年5月8日(火)発行 以上のセッション(分科会)が開催された。 「政治プロセス」の閣僚級会議には秋本真利・国土交通大臣政務官が出席し、「気候変動に伴う洪水の頻発、水需要のひっ迫、地下水の過剰取水による地盤沈下問題解決」など世界的な水の課題解決策について、日本が有する技術・法制度や経験・ノウハウを紹介した。さらにアジア・太平洋水フォーラム(以下APWF、事務局:日本水フォーラム)とミャンマー政府が昨年12月に共催した「第三回アジア・太平洋水サミット(The 3rd APWS)」の成果文書「ヤンゴン宣言」で言及されている水災害対策への投資の倍増、防災への事前投資、健全なる水循環への取り組み等にも触れ、「アジア太平洋地域各国リーダーの決意である『ヤンゴン宣言』を世界の水問題のステージに提起し、多くのステークホルダーに行動を呼びかけたい」と述べ、日本の貢献策を強調した。 「地域プロセス」では日本水フォーラムがアジア太平洋地域のコーディネーターを務めた。コーディネーター役は第五回トルコ、第六回フランス、第七回韓国に続き、今回で4度目となる。同地域のとりまとめセッションでは、「ヤンゴン宣言:持続可能な発展のための水の安全保障の道筋」を具体的に実行していくための議論を行い、各種水課題に取り組む現場の能力向上やイノベーション創出を促すために、各国の水政策・制度・教育面での取り組みの重要性を提言した。2.皇太子殿下の基調講演 皇太子殿下は19日に開かれた「水と災害」ハイレベルパネルが主催するセッションで「繁栄・平和・幸福のための水」をテーマに英語で基調講演された。具体例(武田信玄公の三分一湧水やブラジルの水循環等)に言及されながら、経済と社会の発展のための水、水を分かち合う大切さ、地球全体の第3種郵便物認可活発な討議が行われたテーマ別セッション吉村 和就[グローバルウォータ・ジャパン代表 国連環境アドバイザー]36第八回世界水フォーラム ブラジルで開催

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