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第3種郵便物認可 水道民営化が実施(1998年)されたが、当初の目的である①安価で安全な水の供給とサービスの拡充(給水対象人口約1000万人)、②給水区域の拡大、③漏水率、無収水率の改善などが適切に実施されなかった(総合的な達成率50%以下)。さらにジャカルタ市民にとり他の都市と比べ高い水道料金と悪いサービスに耐えられなかった。2)市民訴訟 居住者と市民連合は2012年にジャカルタ地方裁判所に提訴し勝訴。地裁は水道の民営化は憲法違反(同年、憲法裁判所の判決)であり、水事業を公共水道事業に戻す決定をした。しかし2016年、ジャカルタ高等裁判所は、地裁の種別グループⅠグループⅡグループⅢAグループⅢBグループⅣAグループⅣB高級ホテルなど民間事業者への水道施設運営権の設定に関する手続きの流れ出所:「最近の水道行政の動向」(厚生労働省水道課、2018年1月)11-20m3>20m31,0501,5755,5007,4509,80012,5501,0501,0504,7006,0008,15012,550金額単位:ルピア 参考:100ルピア=0.77円(2018年3月)一般住宅 約27円/m3 10年以上、料金表改定なし 第1864号 平成 30年3月27日(火)発行この最高裁判決で25年間のジャカルタ民営化水道は終焉を迎えることになった。4)ジャカルタ水道の現状 筆者は2018年2月にジャカルタを訪問、現地の水道関係者から聞き取りを行ったが、再公営化への具体的な取り組みはこれからである。また民から公へ所有権移転問題と過去の大きな負債の取り扱い、今後の水道職員の取り扱いなど再公営化までの課題は山積みである。筆者からすると安すぎる水道料金改定がなければ、だれが経営しても難しいと思われる。3.日本、改正水道法案…… 国会に再上程予定 先の国会で審議未了だった水道法の改正案が、再上程される予定である。その骨子は広域連携、適切な資産管理、官民連携の推進である。特に注目されるのは官民連携で、水道施設の運営権を民間事業者に設定できる仕組みを導入することである。特に改正案ではPPP/PFIを推奨しており、各事業体へコンサルを入れ検討するように求めている。 この改正案には日本の大企業や海外の水メジャーや海外の投資家集団が大きな関心を示している。日本の水道料金収入(年間)は約2兆3千億円で魅力的であるが、しかし全国1381水道事業者の33%が原価割れ(厚生労働省発表)、公営企業年鑑(総務省)では52%が原価割れであり、このままでは政令都市しか生き残れない状況に追い込まれている。世界民営化の流れの中で国民の命を守る日本水道の永続性をいかに確保するか、これからが関係者の智慧の絞りどころであろう。ジャカルタ市の水道料金表顧客種別宗教関係政府・病院一般住宅工場など大使館など0-10m31,0501,0503,5504,9006,82512,550決定を覆し、水道事業の民営化路線を継続する政府の方針を認めたために、市民連合は最高裁に控訴していた。3) ジャカルタ最高裁の判決…… 最高裁は水道の民営化は、住民の水に対する人権を守ることに失敗したと述べ、2017年10月に次のような判決を下した。◦ ジャカルタの民営化水道は2023年までに終結させること。◦ 民間水道事業者との契約は無効とする。◦ 国際規約第11条、第12条に記載されている「水に関する人権および価値」に従ってジャカルタの飲料水管理を実施すること。民営化水道の終焉

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